項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | iPS細胞創薬に基づいた新規筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬であるロピニロール塩酸塩の実用化第1/2a相試験 | |
研究代表者名 | 岡野栄之 | |
研究代表者の所属機関名 | 慶應義塾大学医学部 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | ALS | |
研究のフェーズ | 臨床試験 | |
研究概要 | これまで、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の病態モデルとして家族性ALSの原因遺伝子の変異マウスなどが多く用いられてきたが、実際のヒト脊髄における病態を再現し得たモデルは存在しない。また、海外で多用されているSOD-1変異動物モデルについても、ALSの主要な異常蓄積蛋白であるリン酸化TDP-43が蓄積しないことが知られており、ALS患者の大部分を占める孤発性ALS患者の病態を再現する上では、真に適切なモデルとは言い難い。そこで、慶應義塾大学医学部生理学教室(岡野研究室)では、遺伝性(TDP-43及びFUS変異)ALS患者と孤発性ALS患者からiPS細胞を樹立し、更に脊髄運動神経細胞へと分化させ、これらがALS病態を示すことを検証した上で、この病態の改善を指標としたドラッグスクリーニング系を開発した。その系を用いて、既存薬ライブラリーを対象にドラッグスクリーニングを実施したところ、複数の候補薬がヒットし、その中でも中枢神経移行性や副作用を含む忍容性などに優れたロピニロール塩酸塩(レキップCR 錠)を見い出し、特許を出願した(橋渡しシーズA)。レキップCR 錠は、現在パーキンソン病の治療薬として世界中で広く用いられている実績のある既存薬であり、1日1回内服の徐放性製剤として患者アドヒアランスに優れている。 本治験では、難治性神経疾患の一つであるALS患者を対象とし、無作為化プラセボ対照、二重盲検期および非盲検継続投与期からなる第Ⅰ/Ⅱa相試験によって、ロピニロール塩酸塩の安全性/忍容性、及び有効性を探索する。実験的モデルに対する効果に基づき、ALSの運動症状改善及び病態伸展抑制効果が期待される。また、次相において適切な患者選択および有効性評価を実施するために必要となるALSの病態や治療効果を反映したバイオマーカーの探索を並行して行う。 前年度までの成果として、平成30年11月に治験届けを行い、12月1日より治験を開始。疾患の性質上から本治験の最も重要かつ懸念された課題であった患者リクルートについては非常に順調に進行し、想定より前倒しの令和元年9月に本登録を満了した。現在、治験の進行に関わるような治験薬由来の重篤な有害事象も認めず、継続投与期を含め治験を継続している。令和2年3月の時点で全患者の二重盲検期が終了するため、当初の計画を変更し、二重盲検期間のデータについて中間解析を実施する予定である。 今後の展望としては、平成33年3月に総括報告書の作成、臨床POCを取得し、企業導出へと繋げていく。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 血漿・血清;細胞;髄液 | |
収集サンプル数 | 200 | |
外部バンクへの寄託 | ALS患者iPS細胞を理研BRCへ寄託済み | |
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 共同研究としてであれば、倫理審査内容を考慮したうえで可否を判断 | |
外部からの使用申請への対応 | 研究代表者に対する共同研究の申し入れにて対応 | |
検査受け入れ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
慶應義塾大学医学部生理学教室、岡野栄之、hidokano●a2.keio.jp |
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