項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | HAMの治療薬開発を促進する代替エンドポイントとしてのバイオマーカーの実用化研究 | |
研究代表者名 | 山野嘉久 | |
研究代表者の所属機関名 | 聖マリアンナ医科大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | HTLV-1関連脊髄症(HAM) | |
研究のフェーズ | 病態解明研究;臨床試験;バイオマーカー・診断薬の開発研究 | |
研究概要 | HTLV-1関連脊髄症(HAM)は、脊髄の慢性炎症による進行性の脊髄障害を特徴とする疾患で、未だ有効な治療法のない深刻な難治性疾患である。先進国で患者が多いのは日本のみで、欧米先進国では患者が少ないことから、治療やバイオマーカーに関する質の高いエビデンスに乏しく、HAMのサロゲートマーカーや国際的標準治療は確立していない。一日も早い治療薬の開発を望む患者のニーズに追いついておらず、長期予後改善に結びつく治療法開発の加速が急務である。 近年、我々はHAM患者レジストリ「HAMねっと」から得られたリアルワールドデータより、HAMの発症様式や経過などから、疾患活動性の異なる3群に大別できることを示し、疾患活動性が予後に影響することを示した。さらに我々は髄液CXCL10とネオプテリンが疾患活動性を反映するマーカーとして有用であることを示した。またHAMねっとの調査による予後解析から、ステロイド治療には症状の進行抑制効果があることが示された。さらにステロイドは髄液CXCL10やネオプテリンの用量依存的な減少効果を有しており、予後改善に重要な治療薬となることが期待された。 以上より我々は、HAMの治療には、疾患活動性マーカーを活用し、より早期に疾患活動性を把握し、活動性に応じて治療することが重要であるとの仮説をたて、難治性疾患実用化研究事業 山野班(H27~29)において、「HAMに対するステロイドの第Ⅱb相試験」を医師主導治験として2016年8月より多施設共同で開始した。しかしながら、HAMは患者数が少なく、全国の神経内科専門医約6000名へ書面による治験組み入れの協力要請をしたにもかかわらず、いまだ組み入れは完了していない。そのため、代替エンドポイントとしてのバイオマーカーを開発し、早期承認制度の活用による治療薬開発期間の短縮が重要な課題であると考えられる。 そこで本研究では、これまでに疾患活動性を反映するバイオマーカーである髄液CXCL10を、代替エンドポイントとして開発し、ステロイド治療の早期承認制度へとつなげることを目指す。代替エンドポイントとしてのバイオマーカーを開発することにより、HAMに対する真に有効な薬剤の実用化が飛躍的に加速し、患者の長期予後改善とQOLの向上が期待できる。 | |
レジストリ情報 | ||
対象疾患/指定難病告示番号 | HTLV-1関連脊髄症(HAM)/26 | |
目標症例数 | 1000 例 | |
登録済み症例数 | 598 例 | |
研究実施期間 | 2012年1月25日~登録症例の観察がすべて終了するまで | |
レジストリ名 | HAMねっと | |
レジストリの目的 | 自然歴調査;患者数や患者分布の把握;疫学研究;治験またはその他の介入研究へのリクルート;治験対照群としての活用;製造販売後調査への活用;登録患者への情報提供 | |
調査項目 | 【試験担当医師による調査】 1) 被験者背景 氏名、性別、生年月日、郵便番号、住所、連絡先(TEL、FAX、メールアドレス)、治療歴、合併症の有無、登録時の血液・髄液一般検査所見 2) 納の運動障害重症度、10m歩行時間、2分間歩行距離 3) ステロイド、インターフェロン、抗痙縮薬の治療状況 【HAMねっと事務局による調査】 1) 患者背景 氏名(よみがな)、性別、生年月日、郵便番号、住所、連絡先(TEL、FAX、メールアドレス)、本人へ連絡がつかない時の連絡先 2) 生活環境および生活状況 出生情報、民族、最終学歴、職業、収入の有無、公的支援受給状況(指定難病患者の認定状況を含む)、婚姻状況、同居家族、輸血歴、移植歴、もらい乳の経験、合併症、既往歴、妊娠・出産経験、嗜好品、HTLV-1家族歴(第一度、第二度近親者のキャリア・HAM・ATL患者の別) 3) HAMの症状 初発症状とその時期、HAMと診断された時期とその医療機関名、症状が出始めてから診断されるまでに受診した医療機関の数、現在受診している医療機関名および診療科名・主治医名、OMDS、IPEC-1、その他運動障害に関する症状、HAQ、介助の必要性および主な介助者、排尿・排便障害に関する症状、OABSS、N-QOL、ICIQ-SF、I-PSS、HAMおよび歩行状態の患者評価、SF-36、EQ-5D-5L 4) 治療歴 治療の有無およびその内容、その他治験・臨床試験への参加歴を含むHAMに関連する新規治療に関する内容 5) 担当医師からのデータ 治療の有無およびその内容、血液検査結果、髄液検査結果、合併症 | |
第三者機関からの二次利用申請可否 | 可 | |
レジストリの企業利用について | 企業が利用することについて患者の同意を取得済み | |
二次利用申請を受けた場合の対応方法 | 運営委員会で協議後、倫理委員会の承認を得て提供。 | |
レジストリURL | http://hamtsp-net.com/ | |
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 血漿・血清;DNA;細胞;髄液 | |
収集サンプル数 | 271 | |
外部バンクへの寄託 | 医薬基盤研究所 JSPFAD(HTLV-1感染者コホート共同研究班) | |
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 可 | |
外部からの使用申請への対応 | 運営委員会で協議後、倫理委員会の承認を得て提供。 | |
検査受け入れ情報 | ||
1 | 検査内容/対象疾患名(あるいは領域名)/指定難病告示番号 | 血中HTLV-1プロウイルス量 |
検査方法 | 遺伝子解析 | |
検査実施場所 | 研究室内 | |
保険収載の有無 | なし | |
検査実施費用の確保方法 | 研究費(AMED);研究費(厚生労働科学研究費補助金) | |
検体検査結果の利用内容 | 治療選択(対症療法以外);合併症の予見;予後の推定;治療効果の推定 | |
検体検査の品質・精度管理 | 研究として実施 | |
検査または検査結果に関する相談の受け入れ可否 | 研究班で受け入れ可能 | |
相談方法 | ||
2 | 検査内容/対象疾患名(あるいは領域名)/指定難病告示番号 | 髄液中ネオプテリン濃度 |
検査方法 | 生化学検査 | |
検査実施場所 | その他 | |
保険収載の有無 | なし | |
検査実施費用の確保方法 | 研究費(AMED);研究費(厚生労働科学研究費補助金) | |
検体検査結果の利用内容 | 治療選択(対症療法以外);重症度の判定;予後の推定;治療効果の推定 | |
検体検査の品質・精度管理 | 研究として実施 | |
検査または検査結果に関する相談の受け入れ可否 | 研究班で受け入れ可能 | |
相談方法 | ||
3 | 検査内容/対象疾患名(あるいは領域名)/指定難病告示番号 | 髄液中CXCL10濃度 |
検査方法 | 生化学検査 | |
検査実施場所 | 研究室内 | |
保険収載の有無 | なし | |
検査実施費用の確保方法 | 研究費(AMED);研究費(厚生労働科学研究費補助金) | |
検体検査結果の利用内容 | 治療選択(対症療法以外);重症度の判定;予後の推定;治療効果の推定 | |
検体検査の品質・精度管理 | 研究として実施 | |
検査または検査結果に関する相談の受け入れ可否 | 研究班で受け入れ可能 | |
相談方法 | ||
4 | 検査内容/対象疾患名(あるいは領域名)/指定難病告示番号 | 髄液中抗HTLV-1抗体価 |
検査方法 | 抗体検査 | |
検査実施場所 | その他 | |
保険収載の有無 | なし | |
検査実施費用の確保方法 | 研究費(AMED);研究費(厚生労働科学研究費補助金) | |
検体検査結果の利用内容 | 診断;治療選択(対症療法以外);予後の推定 | |
検体検査の品質・精度管理 | 研究として実施 | |
検査または検査結果に関する相談の受け入れ可否 | 研究班で受け入れ可能 | |
相談方法 | ||
5 | 検査内容/対象疾患名(あるいは領域名)/指定難病告示番号 | 髄液中HTLV-1プロウイルス量/HTLV-1関連脊髄症(HAM)/26 |
検査方法 | 遺伝子解析 | |
検査実施場所 | 研究室内 | |
保険収載の有無 | なし | |
検査実施費用の確保方法 | 研究費(AMED);研究費(厚生労働科学研究費補助金) | |
検体検査結果の利用内容 | 治療選択(対症療法以外);合併症の予見;予後の推定;治療効果の推定 | |
検体検査の品質・精度管理 | 研究として実施 | |
検査または検査結果に関する相談の受け入れ可否 | 研究班で受け入れ可能 | |
相談方法 | ||
担当者連絡先 | ||
HAMねっと事務局 〒216-8512 川崎市宮前区菅生2-16-1聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター内 Tel・Fax:0120-868619 E-mail:info●hamtsp-net.com |
※メールアドレスが掲載されている場合は、「●」を「@」に置き換えてください。