項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | C1QBPを標的としたミトコンドリア病治療薬の開発 | |
研究代表者名 | 加藤忠史 | |
研究代表者の所属機関名 | 順天堂大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | ミトコンドリア病 | |
研究のフェーズ | シーズ探索研究;非臨床試験 | |
研究概要 | ミトコンドリア病の主な病型にはMELAS、CPEO(慢性進行性外眼筋麻痺)がある。MELASに対する初めての治療薬タウリンが承認されたが、他のミトコンドリア病には未だ治療法がない。CPEOは、眼症状よりも、抑うつ、易疲労性によるQOL低下が著しく、原因遺伝子としてmtDNA合成酵素(Polg)などがある。 我々は、CPEOの中枢神経症状のモデルとしてPolgの変異体の神経特異的トランスジェニックマウスを作成し、うつ病様の行動変化を見出した。遺伝子発現解析により、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(mPTP)の構成要素シクロフィリンD(CypD)の変化を見出し、その阻害薬はマウスの行動異常を改善した。 mPTP阻害薬で虚血耐性となること、うつ様症状を示す神経変性疾患モデルマウスはCypDノックアウトで症状が改善することから、中枢mPTP開口阻害は神経保護作用を持つと考えられる。我々はマウス脳ミトコンドリアでCa2+取り込み能を増加させる化合物を探索し、強力な阻害活性を持つ化合物Compound K (CpdK)を見出し、CpdKがテトラサイクリン分解経路の代謝物seco-cycline Dであることを確認した。CpdKおよび同様の活性を持つ関連化合物の合成法を確立し、特許を申請した。CpdKは水溶性が比較的高く、中等度の膜透過性を持ち、腹腔内投与でマウス脳内に検出された。そのエステル化誘導体は神経系細胞で細胞保護効果を示した。CpdKの標的タンパク質探索により、シナプスのミトコンドリアに多くmPTPの構成要素候補であるC1QBPを同定し、新規治療標的となると考えた。 本研究では、C1QBPとCpdKの結合を解析し、バックアップ化合物を探索し、CpdKまたはバックアップ化合物の作用をin vivoで検証する。 中枢神経症状を標的としたミトコンドリア病の創薬は、QOL向上に向けた新規治療戦略として独創的である。mPTPは創薬標的として注目されて来たが、未だ成功した薬剤はなく、本研究は独創性が高い。有用なCpdK誘導体が見出されたら、臨床試験の道が開かれ、精神神経疾患の中にミトコンドリア病態を伴う者をバイオマーカーにより見出すことができれば、こうした患者の抑うつ症状を標的とした治療薬として期待される。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
順天堂大学 加藤忠史 tadafumi.kato●juntendo.ac.jp |
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