項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | ARXポリアラニン伸長変異によるウエスト症候群の病態解明 | |
研究代表者名 | 塩田倫史 | |
研究代表者の所属機関名 | 国立大学法人熊本大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | ウエスト症候群 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究 | |
研究概要 | 指定難病であるウエスト症候群は、乳児期よりスパズム・発達遅滞などの症状を呈する難治性てんかん症候群である。ウエスト症候群の治療法として、てんかん発作の抑制を目的とした対症療法が行われているが、疾患の発症メカニズムに基づいた原因療法は皆無である。従って、ウエスト症候群の病態発症メカニズムを解明し、「画期的な原因療法」を開発する必要がある。ウエスト症候群の遺伝子変異として ARX 遺伝子コーディング領域の GCG リピート伸長変異による「ポリアラニン伸長」がある。これまでの研究では、ハンチントン病などの CAG リピート伸長変異により産生されるポリグルタミンタンパク質と同様、 ARX ポリアラニン伸長タンパク質が細胞内に凝集体を形成し機能障害を引き起こす「機能獲得」がウエスト症候群の発症メカニズムであると考えられてきた。しかしながら、 ARX タンパク質の凝集体は、ポリアラニン伸長変異を持つ患者組織で観察されないことから、この「機能獲得メカニズム」説には大きな矛盾がある。 申請者らは、これまでの定説を覆すウエスト症候群の発症要因を見出した。 ARX 遺伝子の GCG リピート伸長変異から産生される ARX mRNA が RNA グアニン四重鎖 (G-quadruplex; G4) 構造を形成し、それにより ARX タンパク質翻訳効率が低下することでウエスト症候群を発症すること、つまり「RNA 構造異常による ARX タンパク質翻訳低下が発症要因である」ことを発見した。申請者らは、同変異を持つウエスト症候群患者の血漿において ARX タンパク質量が有意に低下していることを明らかにした。さらに、ウエスト症候群様のてんかん・知的障害を呈する Arx 遺伝子 GCG リピートノックインマウスに申請者らが見出した G4 構造作用薬「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」を投与することで、 ARX タンパク質の翻訳低下を改善すること、および、てんかん症状の改善が見られることを明らかにした。 以上の発見に基づき、本研究ではウエスト症候群における RNA 構造異常による病態メカニズムを ① RNA構造解析 (in vitro)、 ② ウエスト症候群モデル細胞解析 (in cellulo)、 ③ ウエスト症候群モデルマウス解析 (in vivo) で包括的に病態解明を行う。さらに、安全性の高い既承認医薬品である 5-ALA をウエスト症候群の治療薬として提唱する。本研究により、 ARX ポリアラニン伸長変異ウエスト症候群の RNA 高次構造異常による病態メカニズムを明らかにし、 5-ALA が候補治療薬となり得ることを実証することで非臨床 POC を取得する。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
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