項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 重症薬疹における特異的細胞死誘導受容体をターゲットにした新規治療薬開発 | |
研究代表者名 | 阿部理一郎 | |
研究代表者の所属機関名 | 新潟大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | スティーヴンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症 | |
研究のフェーズ | 非臨床試験 | |
難病プラットフォームとの連携の有無 | なし | |
研究概要 | 研究の背景:スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)及び中毒性表皮壊死症(TEN)は、全身の皮膚多形紅斑、粘膜傷害と発熱を伴う疾患で、時に死に至る重篤な疾患である(Yuma, J Dermatol 2020)。現在、SJS及びTENに効果を期待できる薬物治療として、早期の副腎皮質ステロイド薬の全身療法が第一選択で、ステロイド不応の場合に血漿交換療法やヒト免疫グロブリン製剤大量静注(IVIg)療法の治療法を併用する(治療ガイドライン2016)。しかし、最近の我々の厚労科研研究班による調査では未だ改善が見られていないばかりか死亡率は増加している(Yuma, J Dermatol 2020)。特に2014年にIVIg療法が保険適応されたにもかかわらず、死亡率の悪化が見られており、新規の治療開発は、喫緊の課題である。 私たちは重症薬疹発症機序を同定し、この知見に基づき治療薬開発を行っている。「難治性疾患実用化研究事業・薬事承認を目指すシーズ探索研究(2018-2020)」の助成を受け、重症薬疹における特異的表皮細胞死(ネクロプトーシス)を誘導する受容体であるFPR1をターゲットにした新規SJS/TEN治療薬の開発を行った。 まずFPR1アンタゴニスト探索のためのアッセイを確立し、リード化合物の探索でライブラリースクリーニングの結果から FPR1阻害活性を示す化合物を同定したが、細胞死阻害活性において強い活性を持つものは含まれていなかった。一方、現在の既存薬の中でFPR1阻害活性を持つものが複数報告されていたので、これらの薬剤中にネクロプトーシス阻害活性をもつものを検索したところ細胞死活性アッセイにて、強い細胞死阻害活性をもつ既存薬を同定することができた。特にケノデオキシコール酸は強い活性がみられた。 目的:我々が同定した本症発症に関わる細胞死誘導受容体に対するアンタゴニストとしてケノデオキシコール酸をSJS/TEN治療薬として開発を行う。 方法:モデルマウスでのケノデオキシコール酸の有効性を検討するため、非臨床試験として施行するモデルマウスを確立する。患者からの新鮮検体(血液、皮膚)を用いる2種のモデルがよりヒト疾患に近いと考えられるが、患者検体を使用するため作製数に限界があり、代用として新生児モデルマウス(発症時患者血清を使用)の確立も平行して行う。加えてモデルマウスにおける薬物動態、安全性評価を評価する。確立したモデルマウスを用いて治療実験を施行する。加えて上記研究のため患者症例の集積を行う。これらの結果をもとに、治験プロトコールの作成を行う。 これまでのpreliminaryな結果では、患者血液細胞モデルマウスにおいてケノデオキシコール酸投与において完全に疾患発症を抑制することが出来た(発症0%、n=6)。またPMDAのRS総合相談を行い、治験移行のための具体的非臨床試験について指示されている。 本研究課題終了時に期待される成果: 治験用製剤の確保はすでに協力企業と合意を得ているので、非臨床試験(効能確認試験)の実施終了と非臨床 POCの取得、治験プロトコールの作成、PMDAとの治験相談の実施を行い、治験へ進める状況となる。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
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