項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 視覚再生遺伝子治療薬の非臨床POC取得および治験準備 | |
研究代表者名 | 栗原俊英 | |
研究代表者の所属機関名 | 学校法人慶應義塾 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 網膜色素変性 | |
研究のフェーズ | 非臨床試験 | |
研究概要 | 日本では視覚障害に伴う日本の経済損失は年間約8.8兆円と試算されており、非常に大きな課題となっている。その中でも、指定難病でもある網膜色素変性症はわが国の失明原因の14%(第2位)を占めており、現在でも有効な治療法がなく、早急な治療法の開発が望まれる。この課題に対し、我々は独自光センサータンパクである「キメラロドプシン」を利用した視覚再生遺伝子治療薬の開発が研究目的である。 光センサーであるロドプシンは動物型と微生物型に大別される。動物型は高感度である一方、単体で働くことができないのに対し、微生物型は単体で働くことができることから、近年オプトジェネティクスという光細胞操作技術に応用されている。一方で、微生物型ロドプシンは屋外光レベルの強い光にしか反応しないという性質があり、視覚再生に応用するには感度が低いという欠点があった。そこで我々は名古屋工業大学と共同研究を行い、それらを組み合わせることで、高感度かつ単体で働き続けられることができるキメラロドプシンを視覚再生遺伝子として応用することを想起した。 他の開発中の治療との差別化については次の通りである。人工網膜やiPS由来視細胞移植などの手術が必要な他の研究開発に比べ、硝子体内注射という低侵襲な投与経路で、かつ他の開発中の遺伝子治療薬に比べて夜間でも見える高感度な視覚再生効果が期待できる。遺伝子治療で比較した場合、網膜色素変性症は70以上の原因遺伝子が見つかっており、各原因遺伝子に対応した治療法の試験が行われているが、本研究はメカニズム的に原因遺伝子に依らず、全遺伝子型で視覚再生が可能である。また、微生物型ロドプシンを利用した治療法は感度が低く屋内では見えず、動物型ロドプシンを利用した手法は、作用及び安全性メカニズムが不明であり、本治療はこの両者の欠点を克服するもので大きな競合優位性がある。 本開発が想定しているのはアデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子治療薬であり、対象疾患である網膜色素変性症の遺伝子型によらず1回の投与で半永久的な治療効果が期待できる。本手法による、簡便かつ高質な視覚再生治療が実現することで、これまで治療法がなかった網膜色素変性症患者の視覚再生、社会復帰を実現し、社会的にも社会保障費の削減が期待できる。また、加齢黄斑変性への適応拡大も可能である。 オーファンドラッグとしての強みを生かした開発計画での早期実用化を目標に、本研究開発中に非臨床POCの取得と臨床研究の開始を目指す。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
慶應義塾大学、栗原俊英、kurihara●z8.keio.jp |
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