項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 脊椎関節炎を標的としたIL-17Aワクチン(FPP003)の臨床応用 | |
研究代表者名 | 石橋輝哉 | |
研究代表者の所属機関名 | 大阪大学大学院医学系研究科 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 体軸性脊椎関節炎 | |
研究のフェーズ | 臨床試験 | |
難病プラットフォームとの連携の有無 | あり | |
研究概要 | 【研究の背景・必要性】 脊椎関節炎の一つである強直性脊椎炎(Ankylosing spondylitis; AS)は、10代〜30代の若年者に発症する原因不明で、体軸関節である脊椎・仙腸関節を中心に慢性進行性の炎症を生じる疾患であり、進行期には脊椎のみならず四肢関節の骨性強直や関節破壊により重度の身体障害を引き起こす疾患である。その病状経過は進行性であり、発症後は生涯にわたり疼痛と機能障害が持続し、患者本人のみならず家族の物理的、経済的、精神的負担は多大である。 【目的・ねらい】 近年アルツハイマー病などを標的とした抗体産生を主眼とした治療ワクチンの開発が世界的に行われているが、我々はインターロイキン(IL)-17Aを標的とした治療ワクチン(FPP003)を開発し(PCT/JP2017/012187)、抗IL-17A抗体を効率に誘導できるワクチン設計が完了している。IL-17Aは、主にヘルパーT(Th)17細胞から産生されIL-17受容体に結合し作用し、IL-17A受容体は上皮細胞(ケラチノサイトなど)、樹状細胞、マクロファージ、線維芽細胞、骨芽細胞及び内皮細胞を含む種々の細胞に発現している。インターロイキン-17A(IL-17A)に対する遺伝子組換え完全ヒトIgG1/κモノクローナル抗体、セクキヌマブ(コセンティクス皮下注)遺伝子組換えヒト化抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体、イキセキズマブ(トルツ皮下注)、ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体、ブロダルマブ(ルミセフ皮下注)は、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬に対し治療効果が認められており、本邦でも強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎に対しても2020年に承認されている。 長期的・継続的に治療が必要である脊椎関節炎に対するIL-17Aワクチンの有用性を検証するため、脊椎関節炎実験モデルであるヒトHLA-B27過剰発現ラットを用い探索的な薬効評価を行ったところ、関節炎および脊椎炎の治療効果を認めた。早期探索臨床試験の実施に向けて、治験薬GMPでの製剤合成および薬物動態試験・反復毒性試験・安全性薬理試験などの非臨床試験も完了した。そこで、医師主導治験として安全性および有効性を検証するためのフェーズ1/2a試験を実施する予定である。 【特色・独創性】 生活習慣病・慢性疾患などに対する抗体誘導型ワクチンとして実用化を目指す。感染症ワクチンは標的分子が細菌・ウイルスのような非自己物質であることから、それを排除するために体内に侵入した細菌・ウイルスに対して液性免疫および細胞性免疫の両方が活性化される。一方、治療ワクチンにおいて、標的分子は通常生体内に存在する内因性蛋白であるため、細胞性免疫を活性化することを避け、主として液性免疫を活性化し抗体産生だけを誘導する必要がある。抗体誘導型ワクチンは国内では本研究グループが積極的な研究開発を行っており、論文報告および特許出願を進めてきた。本研究課題はこの抗体産生誘導型ワクチンの基盤技術を用いている。 【類似研究・競合に対する有意点・国際的に見た研究の立ち位置】 抗体産生を主眼とした治療ワクチンは、これまで高血圧(アンジオテンシンIIワクチン)、認知症(アミロイドβワクチン)を筆頭に関節リウマチや悪性疾患など多岐にわたる疾患に対するワクチン開発が行われており、一部は臨床治験まで進んでいる。B細胞からの安定した抗体産生にはT細胞の活性化が必要となるため、これまでT細胞活性化配列を有するキャリアとしてKLHやVLPが用いられている。本研究グループは独自のT細胞エピトープペプチド(AJP001)を有しており、独自のワクチン製剤を用いた開発が可能であり、今後臨床試験においてこのペプチドワクチンの効果が期待できる。 | |
レジストリ情報 | ||
難病プラットフォームとの連携の有無 | あり | |
対象疾患/指定難病告示番号 | 強直性脊椎炎/271 | |
目標症例数 | 100 例 | |
登録済み症例数 | 46 例 | |
研究実施期間 | 2019年4月~2023年3月 | |
レジストリ名 | ||
レジストリの目的 | 患者数や患者分布の把握;疫学研究;遺伝子解析研究 | |
レジストリ保有者のPMDA面談経験の有無 | あり | |
臨床情報の調査項目 |
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調査項目 | ||
第三者機関からの二次利用申請可否 | 不可 | |
レジストリの企業利用について | 企業が利用することについては、患者の同意を取得していない | |
二次利用申請を受けた場合の対応方法 | ||
レジストリURL | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
森ノ宮医療大学、冨田哲也、tetsuya_tomita●morinomiya-u.ac.jp |
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