項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 網膜色素変性の進行を抑制するスタチン封入ナノ粒子薬の開発 | |
研究代表者名 | 村上祐介 | |
研究代表者の所属機関名 | 九州大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 網膜色素変性 | |
研究のフェーズ | 非臨床試験 | |
研究概要 | 【対象疾患】 網膜色素変性 【研究の目的】 網膜色素変性(Retinitis Pigmentosa: RP)は遺伝子変異によって発症する難病である。現在のところRPの進行を抑制する、または機能を回復する治療法は確立されておらず、我が国の失明原因の第2位(14%)を占める。RPの原因遺伝子は90種類と多様であり、原因遺伝子に対するアプローチでは対象患者が限定されてしまう。一方、「炎症」などのRPに共通する病態を標的とした治療法は、原因遺伝子に関わらず多くのRP患者を治療対象にできる。 炎症には様々な細胞が関与するが、我々は「末梢血の炎症性単球」ならびに「単球由来マクロファージ」がRPの網膜変性を促進するエフェクターであることを同定した。本研究ではこれらの炎症細胞を標的としたナノ粒子治療薬を開発する。 【研究方法】 我々はSENTAN Pharma(株)と共同で、RPの進行を抑制するスタチン封入ナノ粒子薬を開発を進めている。これまでの研究において、静脈内投与されたピタバスタチン封入ナノ粒子は、我々が同定したRP増悪因子である「末梢血の炎症性単球」ならびに「単球由来マクロファージ」の活性を抑制し、RPモデル動物の網膜変性を大きく抑制した。スタチンは本来のLDLコレステロール低下作用とは別に、高濃度で抗炎症作用を有するが、高用量内服には重篤な副作用が伴う。我々のナノ粒子は、炎症性単球に効率的に薬剤を送達することが可能であり、スタチンの投与量を抑制しながら強力な抗炎症作用が得られる。 ピタバスタチンとPLGAナノ粒子は、それぞれ医薬品として上市されている。ピタバスタチン封入ナノ粒子についても循環器領域で先行開発がなされ、健常者を対象としたPhase 1試験が終了している。対象の背景や投与法(静脈内投与)は同等であり、RPへの応用を迅速かつ低予算で行うことが十分に期待できる。 本研究開発では、非臨床POCを取得するため、①用量設定試験、②薬物動態試験、③GLP基準長期反復投与毒性試験、④GMPナノ粒子薬の製造準備を行う。薬事相談や患者情報の整理(レジストリ構築)、治験準備を並行して進める。 【期待される成果】 ピタバスタチン封入ナノ粒子の静脈内投与によるRP治療について、非臨床POCを取得する。 R6年度からPhase 1/2a医師主導治験を開始する予定である。本治療により網膜変性の進行を抑制することで、RP患者の社会的失明を防ぎ、その生活・人生に大きな光を灯すことが期待される。 | |
レジストリ情報 | ||
対象疾患/指定難病告示番号 | 網膜色素変性/90 | |
目標症例数 | 100 例 | |
登録済み症例数 | 14 例 | |
研究実施期間 | 2021年10月〜2024年3月 | |
レジストリ名 | RP PRIMARYスタディー | |
レジストリの目的 | 自然歴調査;治験またはその他の介入研究へのリクルート;治験対照群としての活用;試料採取;バイオマーカーの探索 | |
調査項目 | <ベースライン> 年齢、性別、家族歴及び病歴に関する情報、原因遺伝子(先行研究の「網膜変性に関する分子遺伝学的研究」で得られた情報:RHO、RPE65、RDH5、ROM1、RDS、PDE6B、RPGR、NDP、OPN1MW、CHM、NRL、XLRS1、TIMP3、UNC119、AIPL1、ABCC6、NR2E3、CRX、VMD2、ELOVL4、GUCA1A、RDS、EFEMP1、LRAT、CRB1、ABCR、VHL、PTCH、GUCY2D、RPGRIP1、GNAT1、CACNA1F、NYX、RHOK、SAG、RLBP、TIMM8A、USH2A、CDH23、BBS、PEX1、PHYH、PAX、COL、TSC1、NF、OA、DMPK、SCA、WFS、OPA、FZD、NEMOをはじめとする網膜変性の病因遺伝子の変異、遺伝子型) <3ヶ月に1度測定(2年間で計9回)> 最高矯正視力(ETDRS視力)、眼圧、細隙灯顕微鏡検査、倒像検眼鏡検査、自発蛍光眼底写真、ハンフリー10-2視野検査、光干渉断層計(OCT) <1年に1度測定(2年間で計3回)> 病歴に関する情報、カラー眼底写真、前房内フレア値、血液検査結果(高感度CRP、CBC、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、Cr、CK、IL-8、CD14/CD16炎症性単球分画[classical, intermediate, non-classical]比率) | |
第三者機関からの二次利用申請可否 | 現時点では未定 | |
レジストリの企業利用について | 企業が利用することについて患者の同意を取得済み | |
二次利用申請を受けた場合の対応方法 | ||
レジストリURL | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 血漿・血清;DNA | |
収集サンプル数 | 14 | |
生体試料の登録例数 | 14 | |
DNA登録例数 | 14 | |
全ゲノム解析済み症例数 | 0 | |
全エキソーム解析済み症例数 | 0 | |
外部バンクへの寄託 | なし | |
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 不可 | |
外部からの使用申請への対応 | ||
担当者連絡先 | ||
九州大学病院 眼科、村上 祐介、murakami.yusuke.407●m.kyushu-u.ac.jp |
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