項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 筋萎縮性側索硬化症に対する抗体治療薬の実用化 | |
研究代表者名 | 山下俊英 | |
研究代表者の所属機関名 | 国立大学法人大阪大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 筋萎縮性側索硬化症 | |
研究のフェーズ | 非臨床試験 | |
研究概要 | 本研究の最終目標は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状進行を緩和し生存期間を延長する分子標的治療薬の開発を行い、臨床応用を実現することである。ALSは上位運動ニューロンおよび下位運動ニューロンが進行性に障害される神経変性疾患であるが、この病態に対する既存の治療法の効果は極めて限定的である。研究開発代表者は、ALSの病態進行過程に、RGMというタンパク質がキーとなる役割を担っていることを明らかにした。 研究開発代表者はこれまで、RGMが強力な軸索再生阻害因子であることを世界で初めて発見し、ヒト化RGMモノクローナル抗体を企業と共同開発し、脊髄損傷および視神経脊髄炎に対する臨床試験を実施するまでに至っている。このヒト化RGMモノクローナル抗体には、米国のメガファーマも注目し、同じ標的の抗体薬剤の開発に乗り出しており、現在は国際開発競争となっている。 一方で研究開発代表者は、ヒト化抗RGM中和抗体について、ALSに対する薬剤としてのfeasibility studyを行った。ALSモデル動物であるSOD-1 mutant mouseを用いて、RGMの病態への関与を解明し、RGM抗体の薬効試験を行い、顕著な運動機能障害の進行の抑制、運動ニューロン変性の抑制、生存期間の延長などの効果を見出した。これらの効果は、RGMを抑制することによる神経回路の再生促進および神経細胞生存促進、さらに免疫制御などによることが明らかとなった。本薬剤の効果は、既存薬剤の効果を大きく上回るものであった。したがってRGM機能阻害抗体はALSに対する症状緩和に寄与し、いまだ治療法が確立されていないALSに対する治療薬として有望である。 本研究開発においては、ヒト化抗RGMモノクローナル抗体の非臨床試験、治験準備を進める。ALSモデルマウスを用いて、RGMモノクローナル中和抗体の非臨床POCを確立することを到達目標とする。本薬剤については、定量法、最大無毒性量および推定最小薬理作用量を検討し、投与時期、用量の検討、投与間隔を決定する。また、齧歯類およびサルでの単回・反復PK/TK試験、毒性試験(反復PK込み)、組織交叉反応性試験を行う。企業において、CMC開発および治験薬の製造を並行して行い、特性分析・安定性、投与液安定性試験を施行する。さらに治験実施に向けた準備のため、プロトコールの作成を行ってPMDA対面助言を進める。治験で使用する原薬および製剤の治験GMP製造の準備はすでに整っている。以上の研究開発項目を本研究期間中に完了し、本研究開発期間終了後に、速やかに臨床試験に進む。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
山下俊英 |
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