項目 | 内容 | |
---|---|---|
事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 疾患モデルオンチップ血管網によるスタージ・ウェーバー症候群の異常脳血管の再現と病態解明 | |
研究代表者名 | 坂野公彦 | |
研究代表者の所属機関名 | 奈良県立医科大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | スタージ・ウェーバー症候群 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究 | |
研究概要 | Sturge-Weber症候群(以下、本症候群)は、脳軟膜を中心とする異常血管により、難治性てんかん・知的障害が引き起こされる難病である。生涯にわたり医療介護支援が必要で、病態解明や有効な治療法の確立が求められている。2013年に、GNAQ遺伝子の体細胞機能獲得変異(R183Q変異)が原因遺伝子として報告された。GNAQ遺伝子がコードするGαqは、Gタンパクファミリーに属し、変異型Gαqの恒常活性化により下流シグナルの活性化を起こすと想定されてきたが、血管、とりわけ脳血管特異的に異常が生じる理由は、明らかではない。近年、野生型Gαqについて血管灌流との関係性が示唆されているが、本症候群における変異型Gαqがなぜ血管病変を引き起こすのかは、不明である。 研究代表者は、疾患特異的変異を正確に導入したヒトiPS細胞を作製し、誘導された血管内皮細胞から作られた三次元血管網を、微小チップ上で灌流培養できるシステムを既に確立している。①本システムから得られたシングルセルRNAseq(scRNAseq)の高次解析を行いつつ、②疾患血管網を用いた画像解析や、血管透過性などの血管機能評価を行いたい。また、③脳オルガノイド等の脳ニッチ共培養系を導入することで、本症候群の脳特異的病態の解明を行いたい。 上記の①~③は相乗的に機能する。①で同定された責任遺伝子・遺伝子経路について、②の免疫染色や、レポーター細胞等を用いた画像解析等を行うことで、血管網における各細胞の位置情報(高shear stress環境等)を含めた形で、疾患病態を解析することができる。また、③において脳ニッチ共培養系における血管網を作製、表現型を観察し、さらなるscRNAseqを行って①の結果と統合解析することで、脳血管特異的に生じている病態を特定化できる。実験による検証とscRNAseqの双方向性の解析を繰り返すことで、より正確な病態解明に繋がると考える。また、本研究はそのまま、創薬スクリーニングを組み合わせた形で研究遂行が可能である。 本研究は、本症候群の治療法開発に繋がる疾患メカニズムの解明のみならず、脳動静脈奇形等の病態解明にも速やかに応用が可能である。また、灌流下の血管生理学・病理学の進展、脳血管発生のメカニズムの理解等にも繋がる成果が期待される。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
奈良県立医科大学 坂野公彦 kbanno●naramed-u.ac.jp |
※メールアドレスが掲載されている場合は、「●」を「@」に置き換えてください。