項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 炎症性サイトカインmRNAの分解・安定化制御を介した肺高血圧症の病態形成制御機構の解明 | |
研究代表者名 | 中岡良和 | |
研究代表者の所属機関名 | 国立循環器病研究センター | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 肺動脈性肺高血圧症、肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究;ゲノム・オミックス解析研究 | |
研究概要 | 肺高血圧症(Pulmonary hypertension: PH)は肺動脈や肺静脈に原因不明の血管リモデリング(狭窄や閉塞)や血栓が生じることで肺動脈圧が上昇し右室不全に至る予後不良の難病である。重度の肺動脈性肺高血圧症や膠原病性肺動脈性肺高血圧症、肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症、慢性血栓塞栓性PHでは、治療法の選択肢が限定され、治療に難渋する。また、PH治療薬に抵抗性を示す患者の5年生存率は22%と極めて予後不良である。そこで、現在認可されている肺血管拡張薬とは異なる分子機序に基づく新しい治療薬の開発に対するunmet medical needsが存在している。 研究開発代表者中岡らと研究開発分担者の竹内らは、最近、共同研究により、①炎症制御の鍵を握るRNA分解酵素Regnase-1を免疫細胞の一部で特異的に欠損させるとCTD-PAHやPVOD様の病変を伴う重症のPHが自然発症すること、②PH患者の末梢血単核球ではRengase-1 mRNA発現が顕著に低下し、予後規定因子となること、を明らかにしつつある。 本研究では、①Regnase-1の発現がPH患者末梢血単核球で減少する分子機序、②Regnase-1発現低下がPH病の発症・重症化を引き起こす分子機序の詳細を明らかにする。さらに、核酸干渉技術を用いたRegnase-1 mRNA分解制御による抗PH薬開発の可能性を探る。 本開発研究により免疫細胞がPH病態の起点となることが証明できれば、これまでのPH病態形成機構の考え方を大きく変える新規性・独創性を有する研究で学術的に意義深いと考える。 炎症シグナル関連の抗PH薬候補としてIL-6受容体抗体tocilizumabやCalcineurin阻害薬FK506がPhase2臨床試験に進んだが、何れも創薬開発は進展していない状況にある。一方、研究開発代表者らが着目しているRegnase-1は、IL-6だけでなく、他の炎症関連分子のmRNAもターゲットとする上流分子である。したがって、本研究開発により、PH病態形成に関係する炎症性シグナルを広範に抑制できる抗PH薬の開発につながることが期待される。特に、Regnase-1 mRNA分解制御に基づく抗PH核酸医薬の開発、バイオマーカーの同定につながる点で社会的影響力が大きく、現在治療不可能な重症PH患者への治療可能性が望める。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 血漿・血清;DNA;細胞;便 | |
生体試料の登録例数 | 300 | |
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 不可 | |
外部からの使用申請への対応 | ||
担当者連絡先 | ||
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