項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 時空間的遺伝子発現・制御解析に基づく難治性肥大型心筋症の病態解明 | |
研究代表者名 | 候聡志 | |
研究代表者の所属機関名 | 東京大学医学部附属病院 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 肥大型心筋症 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究 | |
難病プラットフォームとの連携の有無 | なし | |
研究概要 | 肥大型心筋症(HCM)は原発性に心室壁の肥大を来たすことで心室が十分に拡張できない状態を伴う難病であり、その有病率は実際のところ約500人に1人とされており、人種差も強くないとされている。HCMの全体的な予後は悪くはないものの、その中で拡張相肥大型心筋症(dHCM)と閉塞性肥大型心筋症(HOCM)は現時点では有効な治療に難渋する病型である。本研究では拡張相肥大型心筋症及び閉塞性肥大型心筋症の患者家系のゲノム解析で同定した新規ゲノム変異情報を反映した疾患モデルノックインマウス(Mybpc3 S593Pfs*3及びMyh6 Y583H)を作成して解析することを目指す。 dHCMについては既に疾患モデルノックインマウスを樹立することに成功し、これまでの予備的解析結果からマウスは生後早期から左室壁肥大を認める一方、患者同様に徐々に心拡大や心機能低下を来すことが確認されている。本研究ではまずマウスの経時的な心機能推移や生存期間を評価しつつ、肥大期・拡張相移行期・拡張相移行後心不全期の3つの時期にそれぞれ心臓組織を採取し、サルコメアを中心とした細胞内構造の形態学的評価(超高解像度共焦点顕微鏡撮影及びクライオ電子顕微鏡撮影)に加えて、シングルセル解析を中心とした網羅的解析を行う。形態学的評価と遺伝子発現情報の統合により、拡張相に移行する分子病態機序を明らかにすることで、治療ターゲットを探索する。また、現時点ではどのようなHCM患者が拡張相に移行するのかを有効に予測する手立てがないため、本研究でもし拡張相移行時に特徴的なバイオマーカー遺伝子の挙動が見つかれば、その遺伝子の種類に応じて将来的に末梢血や心筋生検検体を用いた予後予測検証の研究につながると期待される。 HOCMの方についても現在ノックインマウスの作成を開始しており、今後画像解析や網羅的遺伝子発現解析を行う。マウスが不均一な心肥大を来す直前と後の時期の心筋細胞をランゲンドルフ灌流法によって採取してシングルセル解析を行う他、両時期の心臓組織凍結標本を用いて空間的遺伝子発現解析も行う。それによって得られた発現情報データを統合解析することで、コントロール健常心筋, Myh6 Y583H変異マウス肥大心筋, Myh6 Y583H変異マウス非肥大心筋の三者を比較してどのような遺伝子発現応答の変化が不均一な肥大が生じさせるのを明らかにし、新規治療ターゲットを探索する。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
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