項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 新規遺伝性膵炎原因遺伝子TRPV6変異による膵炎発症機序の解明と治療応用 | |
研究代表者名 | 正宗淳 | |
研究代表者の所属機関名 | 国立大学法人東北大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 遺伝性膵炎 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究 | |
難病プラットフォームとの連携の有無 | なし | |
研究概要 | 遺伝性膵炎は遺伝的素因によって家系内に慢性膵炎が多発する。我々が実施した全国調査の結果では、わが国の遺伝性膵炎患者罹患数は400~500人程度と推定されている(Masamune A, et al. J Gastroenterol 2017)。遺伝性膵炎の原因遺伝子としてはカチオニックトリプシノーゲン(PRSS1)や膵分泌性トリプシンインヒビター(SPINK1)遺伝子異常が知られている。しかし、一部の患者では既知の遺伝子変異がみられない。原因遺伝子同定は治療ターゲットをヒトで直接同定できるという、治療薬開発上で非常に大きなインパクトを有する。研究代表者らは次世代シークエンサーを用いた全エクソーム解析により、若年発症慢性膵炎患者においてカルシウムチャネルをコードするTRPV6遺伝子に新たに生じた機能喪失変異を世界で初めて同定した(Masamune A, et al. Gastroenterology 2020)。本遺伝子変異は本邦のみならずドイツ、フランスの若年発症慢性膵炎患者でも高頻度であり、国際的にvalidation済みである。更に、本遺伝子のマウスホモログ遺伝子について膵特異的ノックアウトマウスを樹立し、膵炎モデルで炎症の増悪を確認済みである。本研究では新たなTRPV6変異による膵炎発症機序を解明し、根本治療につながる創薬の基盤開発を最終目標とする。 膵特異的Trpv6ノックアウトマウス・遺伝性膵炎患者由来Trpv6変異ノックインマウスを用い、コレシストキニンアナログであるセルレイン投与や既知の膵炎原因遺伝子変異により膵炎を自然発症するマウスとの交配により膵炎発症機序・増悪メカニズムを明らかにする。マウスより樹立したTrpv6欠損膵癌細胞株・膵オルガノイドを用いてカルシウムイオンをはじめとしたイオン取り込み能・分泌機能の変化を解析する。Trpv6機能喪失により発症する膵炎の鎮静化・進展抑制に寄与する薬剤開発のため、薬剤スクリーニング基盤の開発を目指す。本研究の推進により、新たな膵炎原因遺伝子であるTrpv6変異による膵炎発症機序の解明とともにこれまで対症療法に限られていた遺伝性膵炎に対する原因療法の開発が期待される。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
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