項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 抗ADAMTS13阻害抗体による後天性von Willebrand症候群の治療法の開発 | |
研究代表者名 | 松本雅則 | |
研究代表者の所属機関名 | 奈良県立医科大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 後天性von Willebrand症候群 | |
研究のフェーズ | 非臨床試験 | |
研究概要 | 体外式膜型人工肺(ECMO)や経皮的心肺補助(PCPS)装着患者ではカニューレ刺入部などより出血が認められることが多く、体外循環で使用されるヘパリンの影響と考えられてきた。しかし最近では、この出血症状の主たる原因が循環ポンプで発生する過度の高ずり応力による後天性von Willebrand症候群(AVWS)であることが報告されている。この機序として、過度の高ずり応力の発生によりvon Willebrand因子(VWF)切断酵素ADAMTS13が、過剰にVWFを切断することが原因であることが明らかになった。重症大動脈弁狭窄症に消化管出血が合併するHyede症候群も同様の機序であることが明らかとなった。ECMO、PCPSの他にも、植込型補助人工心臓(LVAD)などの機械的補助循環によっても発症する。現状ではこれらの疾患に対する有効な治療法がないため、ADAMTS13活性阻害でAVWSによる出血症状を制御する新規治療法を想起した。 我々は、ヒトADAMTS13活性を阻害するヒト化モノクローナル抗体A10の作成に成功した。また、PCPSやLVADを還流回路に接続しヒト血液を還流させることで高分子量VWFの減少を確認し、これにA10を添加しAVWSが予防できることを確認した。さらに、カニクイザルにPCPSやLVADを装着しAVWSの発生を確認し、このモデルにA10を投与しAVWSの発生が予防できる可能性を確認した。RS戦略相談対面助言を完了し、FIH試験までに実施が必要となる非臨床試験項目についてPMDAと合意した。 本研究ではヒト化A10を用いて非臨床試験を実施し、FIH試験の準備を進める。GLPグレードの抗体を製造するため、効率的な培養方法、精製プロセスを検討する。非臨床試験関連事項として、ヒト血液を用いたPCPS還流モデルでヒト化A10の有効性を確認する。PCPSやLVADを装着したカニクイザルモデルに、A10を投与してAVWSの予防を確認する。本製剤が開発されることにより、今まで有効な治療法が存在しなかったAVWSにおいて有効な治療法が開発できるとともに、出血による貧血のための赤血球輸血を防ぐことが可能となり、AVWS患者の生命予後、QOLの改善につながることが期待される。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
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