項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 希少疾患かつ指定難病の嚢胞性リンパ管腫に対する画期的治療薬の開発研究 | |
研究代表者名 | 山本誠士 | |
研究代表者の所属機関名 | 富山大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | リンパ管奇形 | |
研究のフェーズ | シーズ探索研究 | |
研究概要 | 本研究で治療薬創出に取り組む疾患は、脈管奇形に分類される「嚢胞性リンパ管腫(小児慢性特定疾患8)」である。嚢胞性リンパ管腫は、主に乳幼児の頭頚部に好発し、リンパ管内皮細胞によって仕切られた大型の嚢胞を認める。重症例では気管圧排による呼吸障害による周産期の死亡がみられ、人工呼吸器管理下で延命を図らなければならないケースもある。中等症であっても大型嚢胞の発生部位によっては整容面での問題があり、患者や家族の精神的負担が大きいとされている。 嚢胞性リンパ管腫は難病指定されているが、疾患の発症と増悪にかかわる細胞群や分子群の解析が全く進んでいなかった。近年我々は、マウス皮下リンパ管新生モデルを開発し(Horikawa et al., Sci Rep, 2016)、独自に作出したPDGFRβ条件的ノックアウト(PDGFRβ-CKO)マウス(Sato et al., Stem Cells, 2016; Kitahara et al., EBioMedicine, 2018)に適用し、嚢胞性リンパ管腫の病態を再現することに成功した。本マウスおよびヒト嚢胞性リンパ管腫サンプルの解析結果から、これまでリンパ管形成との関連性が不明であったAmphiregulin (AREG)が、リンパ管周囲の線維芽細胞で高発現しており、AREGが嚢胞状のリンパ管を形成する責任分子であることを突き止めた。さらに、本マウスに対して、市販のヤギ抗AREGポリクローナル抗体を用いたマウスの治療実験では、治療群で有意にリンパ管の直径が縮小していた (Yoshida et al., PNAS, 2021)。これらの結果から、これまで不明であった嚢胞性リンパ管腫の増悪分子メカニズムの本質が、リンパ管周囲の線維芽細胞におけるAREGの過剰産生によるものであり、過剰なAREGがリンパ管内皮細胞の増殖を促して嚢胞を形成することが世界に先駆けて示された。 これより、本応募研究ではAREGをターゲットとした阻害抗体の開発研究に取り組み、指定難病かつ希少疾患の嚢胞性リンパ管腫、類似疾患の巨大リンパ管奇形に対する革新的治療薬を創出する計画である。本研究の結果、嚢胞性リンパ管腫に対する真に効果のある抗AREG抗体を用いた治療が可能となり、患者や家族のQOLや心の健康に貢献できると確信している。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
富山大学 山本誠士 sseiyama●med.u-toyama.ac.jp |
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