項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 左巻きZ型RNAの認識機構破綻に着目したRNA編集酵素ADAR1変異型エカルディ・グティエール症候群(6型AGS)発症病態の解明 | |
研究代表者名 | 中濱泰祐 | |
研究代表者の所属機関名 | 大阪大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | RNA編集酵素ADAR1変異型エカルディ・グティエール症候群(6型AGS) | |
研究のフェーズ | 病態解明研究 | |
研究概要 | エカルディ・グティエール症候群(AGS)は、インターフェロン(IFN)の異常産生に起因する脳炎を主症状とする自己免疫性疾患である。治療法はなく、病態解明が急務である。現在までに7つの原因遺伝子が報告されており、その中の6型はADAR1遺伝子変異に起因する。ADAR1は、二重鎖RNA中のアデノシンをイノシンへ置換するRNA編集酵素であり、ヒトでは100万カ所以上で生じている。近年の解析により、RNA編集は二重鎖構造を緩めることで、RNAセンサー分子MDA5によって内在二重鎖RNAが非自己と誤認され、自然免疫応答が惹起されることを回避する役割を果たしていると考えられている。このため、点変異によるADAR1の機能低下がMDA5を活性化させることが6型AGSの原因と考えられるが、他の原因遺伝子を含めて脳炎を再現するAGSモデルマウスは確立されていないため、AGS病態解明の障壁となっている。一方、ADAR1の標的となる二重鎖RNAの中でMDA5活性化回避に不可欠な基質が不明である。そこで、ADAR1にあるZ型RNA結合ドメイン(ZBD)内にもAGS原因変異が同定されていることに着目した。自然界にあるRNAのほとんどは右巻きのA型であるが、ADAR1には左巻きのZ型RNAに結合するZBDが存在しており、このドメインに結合するRNAの編集破綻が6型AGS病態の根底にあるのではないかと着想した。 そこで本研究では、Adar1遺伝子にAGS型点変異をノックインした6型AGS KIマウスを樹立し、6型AGS KIマウスの表現型と病態を詳細に解析し、脳炎を再現する初のAGSモデルとして確立することを目指す。本マウスは治療候補の評価へ利用することが期待できる。また、RNA編集酵素欠損細胞株を用いた解析により生体内Z型RNAを同定し、Z型RNA自体やその近傍に生じるRNA編集が、MDA5経路活性化の回避に不可欠であることを検証することでその生理的意義を明らかにし、6型AGSの発症病態の全容を解明する。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
検査受け入れ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
大阪大学、中濱泰祐、nakahama●rna.med.osaka-u.ac.jp |
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