項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 家族性中枢性尿崩症の小胞体ストレス軽減を標的とした創薬開発研究 | |
研究代表者名 | 有馬寛 | |
研究代表者の所属機関名 | 名古屋大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 中枢性尿崩症 | |
研究のフェーズ | 非臨床試験 | |
難病プラットフォームとの連携の有無 | なし | |
研究概要 | 家族性中枢性尿崩症(FNDI)は抗利尿ホルモンであるAVP遺伝子の変異によって、生後数ヶ月から数年より経時的に抗利尿ホルモンのAVP分泌が低下することにより多尿が進行する疾患である。小児期に発症することが特徴であり、未治療のままでは脱水、栄養障害を呈する。また、治療としてはAVPアナログであるデスモプレシンを用いるが、内因性AVP分泌のような血清ナトリウムによる精密な調節を受けないため、水バランスの維持は容易ではない。また、患者のQOLは著しく低下する。 我々が樹立した、FNDIマウスはAVPニューロンの小胞体にミスフォールド蛋白質が蓄積する。また、FNDIマウスでは、FNDI患者と同様に経時的に尿量が増加するが、この表現型の進行は小胞体内に蓄積する変異蛋白質の量に比例する。さらに小胞体ストレスを軽減することが知られている化学シャペロンの4-PBAをFNDIマウスに投与して検証したところ、4-PBAにより小胞体内の変異蛋白質の蓄積が減少するとともに、AVP分泌が増加し、FNDIマウスの尿量が減少することを実証できた。すなわち、化学シャペロンはFNDIの小胞体ストレスを改善することが期待できる。さらにFNDI以外の中枢性尿崩症でもAVPニューロンに小胞体ストレスが生じていると考えられることから、小胞体ストレス軽減薬は中枢性尿崩症の新たな治療薬として期待できる。 また、研究開発分担者の親泊は探索系として、小胞体ストレスを標的とした高感度のハイスループットスクリーニング法を確立している。そして、小胞体ストレススクリーニング系から見出した候補化合物IBT21は、FNDIマウスiPS細胞より分化誘導したAVPニューロンにおいて4-PBAの副作用(高濃度が必要であること、結果としてin vitroにて周囲の神経に細胞死が見られること)を軽減することを我々は確認している。そして、IBT21よりさらに優れた効果を示す治験薬候補化合物IBT30を開発し、令和3年度、IBT30(100mg/kg/day、経口)が血中、脳内に移行し、FNDIマウスの尿量を減少することが確認され、血中濃度、および脳内濃度の推移から臨床用量は100-200mg/kg/dayと推定した。また、これまでの検討では一日1回投与と一日2回投与の間に明らかな効果の差を認めていない。 本研究では、FNDIマウスに100, 200 mg/kg/dayのIBT30を経口投与し(分1または分2)、PKPDデータを補強するとともに、非臨床安全性試験として、ラットとイヌの2種で2,000、600、200mg/kg/dayの実薬3群、対照群の2週間反復投与試験を実施し、PMDA対面助言を通じて、臨床試験計画を策定する。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
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