項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 好中球活性化制御分子を標的としたANCA関連血管炎の病態解明と治療法の開発 | |
研究代表者名 | 熊ノ郷淳 | |
研究代表者の所属機関名 | 大阪大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | ANCA関連血管炎 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究;シーズ探索研究;非臨床試験;バイオマーカー・診断薬の開発研究 | |
研究概要 | 抗好中球細胞質抗体関連血管炎(ANCA関連血管炎/AAV)は難治性の自己免疫疾患であり、発熱などの全身症状の他、神経や腎臓に重篤な臓器障害を引き起こす免疫難病である。AAVの発症には好中球の過剰な活性化が関わっているとされるが、詳細な病態は明らかになっていない。治療にはステロイドなどの非特異的かつ強力な免疫抑制剤が用いられ、感染症などの合併症の治療にも医療資源が多く投入されている。これらの点から、AAVの詳細な病態解明と、疾患特異的な治療薬の開発は難病領域における喫緊の課題である。 セマフォリンは神経ガイダンス因子として同定された分子であるが、申請者らは世界に先駆けて液性免疫応答におけるセマフォリンの機能を発見し、免疫細胞の遊走、代謝、分化に関わる(Nature 2002, 2007, 2010, 2012, Nature Immunol 2008, 2010)だけでなく、セマフォリンやセマフォリン関連分子の機能異常が免疫疾患やがん免疫に関与することを見出した (Nature Commun 2016, Ann Rheum Dis 2017, Science 2017, Nature Medicine 2017, Nat Rev Rheumatol. 2018, Nature Immunol. In press)。 申請者らは最近、セマフォリン4D(SEMA4D)が好中球の過剰な活性化にブレーキをかける免疫チェックポイント分子として機能し、その制御機構の破綻がAAVの病態形成に関連していることを報告した(右図、Ann Rheum Dis 2017)。この結果から、セマフォリンを標的とした治療薬の開発は、従来申請者らが明らかにしてきた血管系、免疫系の調節因子としての自己抗体産生の抑制、血管内皮保護作用に加え、好中球特異的な活性化抑制の作用が期待できる。また、好中球を含む自然免疫の活性化を制御する分子として着目するセマフォリンは好中球に特異的な分子ではなく、好酸球にも発現する事が判明した。そのため、AAVの臨床的枠組みの中で、好酸球が関与する病型であるEGPAにも対象を拡充することが可能である。 本申請においては、(1)初年度にはAAVの疾患モデルマウスを、従来の方法に加え、ヒトの病態をより正確に反映する改良を行う(同モデルマウス構築に取り組んでいる施設は、過去の学会報告等を参照する中では国内で本教室のみである)。本申請時点で、既にモデルマウスの立ち上げに着手しており、少数匹の先行実験において血管炎を発症させることに成功しているため、系をさらに安定させ、規模を拡大、維持する。(2)次年度、次々年度において、セマフォリン及びその関連分子を標的とした治療薬を中外製薬との共同開発により取得し、モデルマウスによる前臨床試験を行い、新規の治療薬を開発する。また、申請者は臨床内科学の教室と基礎免疫学の教室を兼任しているという特性を最大限に発揮し、実臨床のAAV患者の血清、血球を臨床研究計画に基づいて取得し、セマフォリン及び関連分子の発現、その動態についても検討することで、Bed-to-Bench/Bench-to-Bedの双方向でAAV治療の病態解明、治療法の探索に取り組む。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 血漿・血清 | |
収集サンプル数 | 100 | |
外部バンクへの寄託 | ||
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 不可 | |
外部からの使用申請への対応 | ||
検査受け入れ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
nishide●imed3.med.osaka-u.ac.jp |
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