項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患政策研究事業 | |
研究課題名 | 多系統蛋白質症(MSP)患者の全国実態調査と診療体制構築に関する研究 | |
研究代表者名 | 山下賢 | |
研究代表者の所属機関名 | 熊本大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 多系統蛋白質症 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究;疫学研究 | |
研究概要 | 「骨パジェット病および前頭側頭型認知症を伴う封入体ミオパチー」は、骨格筋や骨、中枢神経障害を示す疾患として認識されてきた。しかし本疾患はそれらの症候に留まらず、筋萎縮性側索硬化症や末梢神経障害、パーキンソニズムなど多彩な神経症状も呈することから、2013年に多系統蛋白質症(multisystem proteinopathy: MSP)と称する疾患概念が提唱された(Kim HJ. et al., Nature 2013)。しかしMSPの疾患概念は国際的なコンセンサスに至っておらず、診断基準も策定されていないため、典型的症候に乏しい症例では診断に苦慮する。近年の分子遺伝学の進歩によってMSPの原因遺伝子(VCPやhnRNPA2B1、hnRNPA1、SQSTM1、MATR3)が同定され、治療を目指した病態研究が進展しているが、一方で正確な診断に基づく疫学や自然歴の情報を得ることが難しく、新規治療法を確立するために必要な臨床研究の実施が困難である。平成29〜30年度厚労省難治性疾患等政策研究事業「多系統蛋白質症(MSP)の疾患概念確立および診断基準作成、診療体制構築に関する研究」班において、我々は本邦におけるMSPの実態を解明する調査研究目的の臨床診断基準を策定するとともに、本邦におけるMSP症例を集積することによってMSPの病態を臨床病理学的に解析し、さらにMSPの病態を再現するマウスモデルや患者iPS細胞由来の細胞モデルの確立、エクソーム解析を含む遺伝学的解析など症例に基づいた病態研究の基盤を確立した。 本研究の目的は、学会承認を通して確定された診断基準に基づいて全国規模の疫学調査によりMSP患者の実態把握を行うとともに、適切な診断と治療の周知を目的とする「MSP診療の手引き」を作成することである。令和2年度に疫学調査の方法と項目について検討を重ねた上で、本邦におけるMSP患者の実態把握を行う。令和3年度にはそれらの調査結果も踏まえて、本疾患の疫学や症状、診断、治療、病態研究、社会支援等について研究分担者ごとに調査・執筆を行い、編集後に「MSP診療の手引き」を発行する。最終的には関連学会、医療従事者、患者および国民への啓発を通して、本疾患概念の国際的コンセンサスの獲得と指定難病への登録を目指すと共に、臨床試験を可能とする指定難病患者データベースの構築を掲げている。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
熊本大学、山下賢、y-stsh●kumamoto-u.ac.jp |
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