項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 多系統萎縮症霊長類モデルとミトコンドリア機能イメージングバイオマーカーの開発 | |
研究代表者名 | 上村紀仁 | |
研究代表者の所属機関名 | 京都大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 多系統萎縮症 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究 | |
研究概要 | 多系統萎縮症(MSA)は、臨床的にはパーキンソニズム、小脳失調、自律神経障害を呈する。病理学的にはオリゴデンドロサイト内αシヌクレイン(αSyn)封入体形成を特徴とし、神経細胞内αSyn封入体形成を特徴とするパーキンソン病(PD)とは明確に異なる。国内患者は約1万2千人とされており、約15万人のPDと比較すると稀であるが、病状の進行は速く平均9年程度で致命的になる。重篤な神経変性疾患の一つと言えるが、早期診断はしばしば困難で、病状の進行を抑える治療法は存在しない。 MSAの研究においては、病態をよく再現する動物モデルが存在しないことが、病態解明と治療法開発の大きな障害となっている。最近我々は非ヒト霊長類であるマーモセットの嗅球に、試験管内で作成したαSyn線維を接種することにより、神経細胞内αSyn凝集病変が脳内伝播する新規PDモデルマーモセットの作製に成功した(Sawamura, Mov Disord. 2022)。また我々はMSAやPD患者脳から高濃度の凝集αSynを抽出する手法を開発した(Marotta, Acta Neuropathol Commun. 2021)。本提案ではこれら手法を組み合わせ、マーモセット脳にMSA患者脳から抽出した高濃度αSynを接種することにより、新規MSAマーモセットモデルの開発を試みる。これらマーモセットには接種後12ヵ月まで病理学的解析、MRI、行動解析を行う。 MSAの病態機序は未だに多くが不明であるが、近年ミトコンドリア機能異常の関与が注目されている。生体内でのミトコンドリア機能の評価は、最近開発されたPETプローブである[18F]BCPP-EFによって可能となった。本提案では、上述のMSAマーモセットモデルに[18F]BCPP-EF-PETと[18F]FDG-PETを施行し、ミトコンドリア機能とグルコース代謝の変化と、病理変化の対応を解析し、MSAの病態解明を試みる。さらに、京都大学医学部附属病院脳神経内科は多数のMSA患者をフォローしているが、同放射線診断科の協力を得てMSA患者にも同PETを施行して、臨床像との対応を解析する。MSAマーモセットモデルと患者の解析により、ミトコンドリア機能障害のMSAの病態生理への関与を明らかにし、併せてミトコンドリア機能の診断と病態進行バイオマーカーとしての可能性を検証する。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
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