項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 低悪性度てんかん原性腫瘍の分子遺伝学的診断ガイドラインに向けたエビデンス創出 | |
研究代表者名 | 岩崎真樹 | |
研究代表者の所属機関名 | 国立精神・神経医療研究センター病院 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | てんかん | |
研究のフェーズ | ゲノム・オミックス解析研究 | |
研究概要 | 難治性てんかんと関連の深い低悪性度の腫瘍性病変群は、Low-grade epilepsy-associated neuroepithelial tumors (LEAT)と呼ばれて近年注目されている。LEATは脳腫瘍全体の2~5%を占めるにすぎないが、診断困難な組織型を含み、分子遺伝学的な分類が確立されていないことが臨床的に問題である。病理学的に「腫瘍」だが、生物学的には増殖能に乏しい。LEATの患者にはてんかんとしての評価と治療が望ましいが、一部の腫瘍は改訂第4版WHO中枢神経系腫瘍分類(2016)に従うと「浸潤性脳腫瘍」と誤診され、不必要で過剰な治療(放射線化学療法など)が行われる危険性が指摘されている。病理学的にLEATと皮質形成障害が混在する症例も多く、両者には共通した異常も疑われている。 以上の臨床的課題を克服するためにLEATの臨床病理学的・分子遺伝学的解析を包括的に行い、LEATをその他の腫瘍と明確に区別する診断基準の創出を目指す。遺伝子解析・病理コンセンサス診断・画像解析の3つのプロジェクトを軸に、それらが有機的に情報共有して研究を進める。 本研究の代表施設は国内で最もてんかん外科治療の実績が豊富な施設の一つであり、外科的に得られたてんかん原性病変の凍結標本・病理標本を約500例保有している。メディカル・ゲノムセンターを併設し、現在は外科切除標本をバイオバンクとして保存している。 対象となるLEATの検体は、後方視的に約50~70例、研究期間内の前方視的検体として約20例を想定している。それらを用い、サンガー法や次世代シーケンサーを用いた遺伝子変異の解析からLEATの分子遺伝学的特徴を明らかにする。既知のものに加えて、てんかん原性に強い関連がある代謝経路・シグナル伝達系の遺伝子変異に着目する。病理診断には、複数の神経病理専門医によるコンセンサス診断を取り入れ、遠隔コンサルテーションシステムを活用した診断基準の均霑化・標準化を図る。画像診断では、視覚的画像評価に加えて定量的画像解析や拡散尖度画像など先進的手法を加えることで、病理学的所見の背景となる異常を同定する。 収集された臨床病理学的・分子遺伝学的解析結果に、発症年齢や発作転帰などの臨床情報を組み合わせることで、分子遺伝学的見地に基づいたLEATの包括的な診断基準を世界に先駆けて発信する。 本研究の成果により、LEATに対する適正な治療が推進される。さらに、分子遺伝学的な背景が明らかになることで、てんかん原性の機序に対する新たな知見をもたらし、将来的な分子標的治療の開発につながる可能性がある。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 血漿・血清;DNA;組織 | |
収集サンプル数 | 170 | |
外部バンクへの寄託 | ||
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 可 | |
外部からの使用申請への対応 | ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN)のホームページに、カタログデータを公開し、共同研究として外部機関に提供する可能性を掲示している。 | |
検査受け入れ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
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