項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | ベッカー型筋ジストロフィーの自然歴調査に基づく予防医学に向けたエビデンスの創出研究 | |
研究代表者名 | 中村昭則 | |
研究代表者の所属機関名 | 独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | ベッカー型筋ジストロフィー | |
研究のフェーズ | エビデンス創出研究;バイオマーカー・診断薬の開発研究 | |
研究概要 | ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)と同じくDMD遺伝子の変異により筋形質膜に局在するジストロフィンが欠損して発症する。DMDではアミノ酸の読み取り枠がずれる変異のためジストロフィンが完全に欠損する。一方、BMDではアミノ酸の読み取り枠が保たれる変異であるため、不完全ながらも機能を有するジストロフィンが産生され、DMDに比べて骨格筋障害は軽症である。しかしながら、心筋障害が前景に立ち心不全や心移植に至る例が少なくない。現在、BMD患者の診療の改題として、1)BMDに対する根本治療の提案がないが故に、診断後の定期的フォローが十分に行われていない。心筋症に対しては、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)やβ遮断薬により心筋症の進展抑制が可能であり、早期診断、予防医学、先制医療が重要である。;2)申請者らはDMD遺伝子エクソン45〜55内の欠失パターンと骨格筋障害の程度に関連があることを報告したが、BMDでは遺伝子変異部位や変異の様式・範囲により表現型の個人差が大きいと考えられる;3)発症前に高クレアチンキナーゼ(CK)血症の存在を切っ掛けに、分子遺伝学的検査によりBMDと診断される例が増加している。しかしながら、遺伝子型—表現型の関連性が明らかにされていないために情報提供ができず、早期診断の利点が生かされていない。;4)現在、DMDに対してBMDの病型へ転換するエクソン・スキップ治療の臨床応用が進んでいる。しかしながら、その治療戦略にはBMDの自然歴情報が必要である(Nakamura A, et al. J Hum Genet, 2017)。;5)BMDではDMDと同様に知的発達障害やてんかんなどの中枢神経障害を併発する例が少なくない。しかしながら、本邦におけるBMDの中枢神経障害の発生頻度や遺伝子型との関連性は不明のままである。以上から、本研究では課題解決のために、筋ジストロフィー臨床試験ネットワークに加盟22施設による共同研究としてBMDの自然歴調査研究を立案し、実施することを目的とする。2018年~2019年度研究では、319名BMD患者のカルテ等の資料から情報を収集した(レトロスペクティブ研究)。データクリーニングを実施した後、2020年度研究では得られたデータの解析を行い、その結果をまとめ・報告する。また、2020年度からは遺伝子変異が確定している約200名のBMD患者の自然歴前向き(プロスペクティブ)研究を開始する。プロスペクティブ研究では、レトロスペクティブ研究の結果を元に多施設での情報収集しやすく、施設間での運動機能等の評価法に差ができるだけ少なくするように工夫する。患者情報を収集するための臨床調査個人票は、新たに患者を組み入れる際に必要な新規患者用とレトロスペクティブ研究で登録された患者の更新用を用意する。プロスペクティブ研究では一定期間毎に長期に渡って継続してデータを収集することにより、より信頼性の高い自然歴情報が得られることから、将来的には先制治療・予防医学への展開および臨床研究・治験に有用な患者レジストリの促進につながることが期待される。 | |
レジストリ情報 | ||
対象疾患/指定難病告示番号 | 筋ジストロフィー/113 | |
目標症例数 | 250 例 | |
登録済み症例数 | 305 例 | |
研究実施期間 | 2018年4月~2021年3月 | |
レジストリ名 | ありません | |
レジストリの目的 | 自然歴調査;患者数や患者分布の把握;疫学研究;試料採取;バイオマーカーの探索 | |
調査項目 | 骨格筋機能・呼吸機能・心筋機能・中枢神経画像に関する調査項目多数 | |
第三者機関からの二次利用申請可否 | 不可 | |
レジストリの企業利用について | 企業が利用することについては、患者の同意を取得していない | |
二次利用申請を受けた場合の対応方法 | ||
レジストリURL | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 尿 | |
収集サンプル数 | 20 | |
外部バンクへの寄託 | ありません | |
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 不可 | |
外部からの使用申請への対応 | ||
検査受け入れ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター 中村昭則 anakamu●shinshu-u.ac.jp |
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