項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | ヒト遺伝性難聴モデルに対する新規遺伝子治療開発に向けた病態解明 | |
研究代表者名 | 吉村豪兼 | |
研究代表者の所属機関名 | 信州大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 遺伝性難聴 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究 | |
研究概要 | 難聴は最も頻度の高い感覚器障害の一つであり、先天性難聴では約6割が遺伝性難聴であることが知られている。遺伝性難聴の診断は次世代シーケンサーによる遺伝学的検査が保険収載近年飛躍的に進歩している一方で、遺伝性難聴の病態はいまだ不明な点が多く、また治療に関しては補聴器や人工内耳の有効性が示されているものの対症療法であり、根治的治療として遺伝子治療の開発が期待されている。 遺伝性難聴に対する遺伝子治療研究はこれまでモデルマウスを用いて行われてきたが、多くが(1)ノックアウトマウス、(2)ヒト難聴患者で頻度の低い原因遺伝子のモデルマウス、(3)生直後の幼若なマウス、を用いた研究であり、臨床応用するための橋渡し研究としては不十分であった。これまで研究代表者は海外との共同研究にてノックインマウス、かつ成体マウスを用いた遺伝子治療効果を世界に先駆けて報告しているが、本研究では、実臨床で頻度の高い、重要な難聴原因遺伝子を対象とした研究を計画した。 複数のモデルマウスを検討した結果、実際の日本人難聴患者の中で特に成人の高度難聴患者で最も頻度の高いCDH23遺伝子変異マウスがヒトと同じく、進行性難聴の表現型をとることが分かり、モデルマウスとして有用であることが考えられた。さらに免疫組織学的検討を行うと、蝸牛における有毛細胞数が経時的に減少していくことが示され、難聴の病態を反映しているものと考えられた。 またCDH23遺伝子変異モデルマウスへの遺伝子治療実験のためのアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)の作製を開始している。CDH23遺伝子はサイズが大きく、3つのAAVへ分けて遺伝子導入を行う必要があり、効率良く導入するための予備実験を開始し、遺伝子治療実験へと移行していく計画である。 本研究の成果により将来的なヒトに対する遺伝子治療の臨床試験に向けた大きな基盤が得られるものと考えられる。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
信州大学 吉村豪兼 yoshimura●shinshu-u.ac.jp |
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