項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | ネフローゼ症候群の新規診断法の確立 | |
研究代表者名 | 丸山彰一 | |
研究代表者の所属機関名 | 名古屋大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 一次性ネフローゼ症候群、膜性増殖性糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス | |
研究のフェーズ | エビデンス創出研究 | |
研究概要 | 【背景】 ネフローゼ症候群は大量の蛋白尿と低アルブミン血症を呈する腎疾患群である。浮腫・体液貯留により著しくQOLを損なうほか、腎機能障害が進行すると透析導入に至る極めて重篤な疾患である。ネフローゼ症候群について、明確な病態解明はされておらず、診断や病勢判断は侵襲的検査である腎生検に頼らざるを得ない。また、腎生検は繰り返し施行することが困難であり、疾患活動性をモニタリングすることには役立たない。このため不十分な治療で腎不全に進展する症例や、過剰な免疫抑制治療により合併症を生じる症例が少なからず存在する。以上の理由から、腎生検に代わるネフローゼ症候群の新規検査法の確立が望まれる。 【目的・ねらい】 全国規模の疾患登録と検体収集に基づき、ネフローゼ症候群の新規検査法(診断・病勢評価)を確立することを目的とする。 【特色・独創性】 ネフローゼ症候群のバイオマーカーについて大規模な症例数による報告はほとんどない。本研究は全国規模でバイオマーカーの有用性の検証をおこなう点に特色がある。 【類似研究・競合に対する優位点】 名古屋大学では10年以上にわたり、生体試料の収集を伴った独自のレジストリを運用しており、5000例以上の既存検体を有する。また名古屋大学では膜性腎症に関するPLA2R抗体の測定にいち早く取り組み、独自の測定システムを有する。さらに、名古屋大学では慶應義塾大学と連携して約1000症例の血液・尿のメタボローム解析をおこない、ループス腎炎に特異的な新規物質CU040を見出した。名古屋大学は日本腎臓学会の腎生検レジストリと協力関係にあり、オールジャパン体制が確立している。 【国際的に見た立ち位置】 ネフローゼ症候群の発生率や治療反応性は地域間・人種間で大きな差異がある。また、膜性腎症患者におけるPLA2R抗体の陽性率は日本人では約50%と欧米人の80%に比べて低い。このため、わが国独自のエビデンスを創出する必要がある。 【期待される効果・将来展望】 本研究により、ネフローゼ症候群の非侵襲的検査法の確立が期待される。将来的には国際的な検証をおこなう。本研究成果は、ネフローゼ症候群診療ガイドライン改訂に寄与する新たなエビデンスとなり、有用性が確認されたバイオマーカーの保険収載につながる。本研究はネフローゼ症候群の診断の適正化・治療の最適化を達成することで、透析患者数の減少・患者QOLの向上・医療費低減に貢献する。さらに、この研究結果はネフローゼ症候群の病態解明・新規創薬につながる可能性がある。 | |
レジストリ情報 | ||
対象疾患/指定難病告示番号 | 一次性ネフローゼ症候群 指定難病222 一次性膜性増殖性糸球体腎炎 指定難病223 全身性エリテマトーデス 指定難病49 | |
目標症例数 | 800 例 | |
登録済み症例数 | 400 例 | |
研究実施期間 | 2018.4.1~2021.3.31 | |
レジストリ名 | 名古屋腎臓病総合レジストリー N-KDR、 日本ネフローゼ症候群バイオマーカー研究 J-MARINE | |
レジストリの目的 | 患者数や患者分布の把握;疫学研究;試料採取;バイオマーカーの探索;登録患者への情報提供 | |
調査項目 | PLA2R抗体, THS7DA抗体, CD80, CTLA4, suPAR, C3a, B因子, I因子, プロパジン, CD11b, CD163, CD16B, CU040 | |
第三者機関からの二次利用申請可否 | 可 | |
レジストリの企業利用について | 企業が利用することについては、患者の同意を取得していない | |
二次利用申請を受けた場合の対応方法 | 倫理委員会の承認を得て提供する。 | |
レジストリURL | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 血漿・血清;尿 | |
収集サンプル数 | 400 | |
外部バンクへの寄託 | なし | |
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 不可 | |
外部からの使用申請への対応 | ||
検査受け入れ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
名古屋大学 腎臓内科 丸山彰一 marus●med.nagoya-u.ac.jp |
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