項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 結節性硬化症の知的障害・自閉症に対する新規治療薬の探索 | |
研究代表者名 | 山形要人 | |
研究代表者の所属機関名 | 東京都医学総合研究所 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 結節性硬化症 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究 | |
研究概要 | 【目的】 結節性硬化症(tuberous sclerosis complex, TSC)は、知的障害や自閉症等を高率に合併し、QOLが著しく損なわれるが、治療薬は今のところ無い。本研究開発はこの分子病態を解明することにより、新規治療薬を探索することを目的とする。 【独創性・優位点】 TSCは、原因遺伝子Tsc1/Tsc2の変異によって、mTORC1が活性化され、発症すると考えられてきた。そして、mTORC1阻害薬であるラパマイシン(アナログ)がTSCのAMLやSEGAに対する治療薬として承認されている。しかし、 1)TSCニューロンのシナプス異常に対して、ラパマイシンは無効である、 2)これまでのラパログの治験において、知的障害や自閉症に対する有効性は示されていない 3)口内炎や間質性肺炎などの副作用のため、中断例が多い などの問題がある。 申請者は、TSCの神経細胞では、mTORC1ではなく、それ制御する低分子量Gタンパク質Rhebとその結合タンパク質synteninが増加することによって、シナプス異常が起きることを突き止めている(Sci Rep. 2014; Nature Commun. 2015)。そして、Rhebやsynteninを抑えることによって、TSCのシナプス異常が回復することも確認している。従って、この経路を抑える化合物が結節性硬化症の知的障害や自閉症を改善する可能性が考えられる。 【計画・方法】 1年度 ① Rhebの減少がTSCモデルマウスの行動異常を正常化することを検証する。Tsc2+/-マウスの文脈依存的恐怖記憶試験を行い、Tsc2+/-マウスに文脈記憶の障害があることを先ず確認する。次に、Rheb+/-マウスと交配し、文脈記憶の回復を確認する。 ② 間接的にRhebの活性化を阻害する化合物(Rheb阻害化合物)を探索する。Tsc2+/-マウスの神経細胞を培養し、シナプスを正常化する活性が最も強い化合物を選ぶ。 1‐2年度 ③ その化合物をTsc2+/-マウスに投与し、文脈記憶の回復効果を調べる。 ④ 社会行動異常を示すTSCモデルマウスを作製し、化合物の効果を確認する。 2‐3年度 ⑤ 先行開発品であるラパマイシンとRheb阻害化合物の薬効を比較検討する。 1‐3年度 ⑥ ヒトiPS細胞のTsc2遺伝子に変異を導入し、神経細胞へ分化させる。分化の異常を確認し、Rheb阻害化合物の効果を調べる。 ⑦ 化合物を所有する企業と臨床試験に向けて準備を進める。 【期待される成果】 本研究によって、知的障害や自閉症に有効な化合物が見つかれば、結節性硬化症患者にとって大きな福音となる。また、Rhebやsynteninはてんかん発作によって脳内で増加することも確認しているため、TSC以外の難治てんかんを伴う知的障害や自閉症などにも、将来的に適応拡大できる可能性がある。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
検査受け入れ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
東京都医学総合研究所、山形要人、yamagata-kn●igakuken.or.jp |
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