項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 先天性QT延長症候群スプライシング変異を標的とした創薬開発 | |
研究代表者名 | 牧山武 | |
研究代表者の所属機関名 | 京都大学大学院医学研究科循環器内科学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | QT延長症候群 | |
研究のフェーズ | シーズ探索研究 | |
研究概要 | 先天性QT延長症候群(LQT)は、QT間隔延長と多形性心室頻拍による失神・突然死を特徴とし、罹患率は2,500-5,000人に1人と推定され先天性遺伝病の中では頻度が高い。薬物療法として、比較的有効とされるβ遮断薬内服下でも約3割の症例で心イベントを生じており、突然死のハイリスク症例には植込み型除細動器が考慮されるが、対処療法であること、患者には小児が多く侵襲や植え込み後のトラブルの問題もあり、新規治療薬開発が強く望まれている。 LQTの発症機序は、イオンチャネル関連分子の遺伝子異常が原因であり、我々は、5000例に及ぶ国内最大規模の遺伝性不整脈ゲノムデータベースを構築し、遺伝子解析、iPS細胞モデルを用いた病態解明を行ってきた。遺伝子変異の部位として、エクソン領域の変異は全体の約7割に留まり、残る約3割はイントロン領域の変異との関連が指摘されており、LQTにおけるスプライシング異常を標的とした治療戦略は臨床的意義が高いと考えられる。 本研究では、LQTにおけるRNAスプライシング異常を標的としたエクソン含有促進化合物を選定、ゲノム編集による疾患モデルによる効果判定と非臨床評価を実施し非臨床POCの確立を目指す。スプライシング操作に関して、蛍光リポーターの変換によりスプライシング変化を解析する独自のスクリーニング系を確立し、それを用いて発見した候補化合物による家族性自律神経失調症の治療効果を報告した。(Yoshida et al. Proc Natl Acad Sci U S A 2015)本研究ではこれらの独自シーズ技術を応用し、ゲノム編集技術を用いた疾患モデルを用いて、LQTスプライシング変異を標的とした新規性、独創性の高い創薬開発を展開する。既に、患者ゲノムライブラリー、スプライシング異常による疾患特異的iPS細胞モデル、独自のエクソン含有促進化合物のライブラリーを有し、計画実現性は高いと考える。 本研究により、異常スプライシングを改善する低分子化合物の開発が達成された場合、スプライシング変異を有するLQT患者の生命予後を改善する遺伝子変異特異的な”Precision Medicine”が現実となる。また、本研究における創薬の取り組みは、スプライシング制御を標的とする低分子化合物創薬の先例となり、その後の幅広い遺伝性疾患群に対する創薬の発展が期待される。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
検査受け入れ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
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