項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | サルコメア構造と収縮性を回復させる新規特発性拡張型心筋症治療薬の開発 | |
研究代表者名 | 塚本蔵 | |
研究代表者の所属機関名 | 学校法人兵庫医科大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 拡張型心筋症 | |
研究のフェーズ | シーズ探索研究;非臨床試験 | |
難病プラットフォームとの連携の有無 | なし | |
研究概要 | 特発性拡張型心筋症(DCM)の予後は悪い。進行したDCMの心機能を回復する特異的治療薬はないため、血行動態の安定化に威力を発揮し、QOLや予後を改善させるDCM治療薬の開発は、極めてニーズの高い重要事案である。近年、myotropeとして開発されたOmecamtiv mecarbil (OM)は、細胞内Ca2+動態の変化を介さずに心筋収縮性を増強できるため、従来の強心薬の弱点を克服できると考えられた。実際に、OMは慢性心不全患者の予後を悪化することなく、死亡および心不全入院までの期間を延長させたが、運動耐用能の改善には至らず、また、厳重な薬剤モニタリングの必要性や虚血患者での使用制限があり、OMに代わるMyotropeの開発が必要である。そこで我々は、2007年に世界に先駆けて我々がクローニングした心臓特異的ミオシン調節軽鎖キナーゼ(cMLCK)を新規DCM治療薬の標的とし、cMLCKを特異的に活性化する低分子化合物開発に長年の間、従事してきた。 これまでに我々が創製したcMLCK活性化剤は、心室型ミオシン調節軽鎖(MLC2v)のリン酸化体の増加を介した、myotrope作用とサルコメア構築改善作用によって、DCM患者の不全心筋を機能と構造の両面から回復させた(特願2022-162292、代表者責任著書Circulation 2023)。cMLCK活性化剤のmyotrope作用は、OMとは作用機序が全く異なるため、虚血を誘発するリスクも少なく、安全性も高い。そこで本研究では、多様な原因のヒトDCM患者由来のiPS心筋細胞や心筋組織、そして小動物のDCMモデル(in vivo)を用いて、cMLCK活性化剤の効果を実証することで、広くDCM患者の治療薬となり得ることを示す。さらに、心臓リモデリングの抑制と長期予後改善効果の確認することで、画期的なDCM治療薬となり得ることを証明し、医薬品治験準備へと移行する。 本研究は、大阪大学薬学研究科構造展開ユニット(化合物の構造展開と最適化)、大阪大学工学研究科と医学系研究科循環器内科(ヒトDCM患者由来iPS心筋細胞および心筋オルガノイド実験)、高エネルギー加速器研究機構(cMLCKと化合物のX線共結晶構造解析)との共同研究体制を敷いている。さらに化合物の構造展開、毒性試験に関してはBINDSの支援のもとで実施される。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
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