項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | オートファジー病 SENDA/BPANに対する遺伝子治療開発 | |
研究代表者名 | 村松一洋 | |
研究代表者の所属機関名 | 自治医科大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | SENDA/BPAN | |
研究のフェーズ | 病態解明研究;非臨床試験;バイオマーカー・診断薬の開発研究 | |
研究概要 | 【研究の背景・必要性】 オートファジーとは、細胞を構成するオルガネラタンパク質全体のリニューアルに関わる細胞内のダイナミックなメカニズムで、細胞の品質管理・維持に欠かせない生体高分子分解機構である。したがってオートファジーの機能不全は、疾病の原因を構成することになる。現在、オートファジー病と称する概念が提唱されており、SENDA(static encephalopathy of childhood with neurodegeneration in adulthood または BPAN)(SENDA/BPAN)、Vici症候群が定義づけられている。申請者らは2013年にSENDA病の原因遺伝子WDR45を同定し、病態の一端を明らかにした(Nature Genetics.2013)。SENDA/BPANの患者数は国内に100名程度の稀少難治性疾患で有効な治療法がなく根治的療法の開発が喫緊である。昨年度は鉄沈着における病態を明らかにすることができた(Tsukida et al. Brain Comm. 2022)。 【目的・ねらい】 SENDA/BPANは機能喪失型の単一遺伝子異常であることから、遺伝子治療により是正可能でこれが最適な方法と考えられる。本申請ではAAVベクターによりWDR45遺伝子を挿入して、患者細胞での発現と機能回復、モデル動物の中枢神経系での発現と治療効果、安全性を検討する。そして治験等の準備(ステップ1)へ移行するため非臨床POCの取得を目指す。 【特色・独創性】 近年、安全性が高く神経細胞に効率よく遺伝子導入可能なアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子治療開発が世界的に進められている。申請者等はAMEDの支援を受け、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症に対する遺伝子治療を実施し、AAVによる遺伝子治療が有効かつ安全なことを示した(Kojima K, et al.Brain.2019; Onuki et al. Brain Comm. 2020)。本課題の標的疾患の病変の主座は中枢神経であり、申請者等が取り組んできた他神経疾患と同様に効果が期待でき、国際的にも先行研究はなく日本発の遺伝子治療開発となる。 【類似研究・競合に対する有意点・国際的に見た研究の立ち位置】 申請者らは、AAVベクターの使用に習熟しており、AADC欠損症の遺伝子治療臨床研究の実現に加え、GLUT1欠損症、OTC欠損症や複数の神経疾患に対する遺伝子治療法開発研究の実績がある(Nakamura S, et al. Mol Genet Metab Rep 2017, Nakamura S, et al.J Gene Med 2018, Kurokawa Y, et al.Hum Gene Ther,2021)。これらの一連のスキームは既に確立している。また、本課題においてはこれまでに予備実験を進めてきており成果が十分に期待できる。 【本研究課題終了時に期待される成果】 オートファジー病SENDA/BPANにおいて、遺伝子治療開発のための非臨床POCを取得し、治験等準備(ステップ1)へ移行する。他に、オートファジー病を漏れなく抽出・診断できるような診断マーカーを探索し早期診断方法を確立する。 【将来展望】 今後の治験実施の際には患者情報が必要となるが、患者数は年々増加しており、これら国内の患者情報の多くは代表者がデータを収集してきた。現在は難病プラットフォームにてレジストリ登録中である。従って、非臨床POC取得を本課題の目標として実施する。 | |
レジストリ情報 | ||
難病プラットフォームとの連携の有無 | あり | |
対象疾患/指定難病告示番号 | SENDA/BPAN 121 改訂中 | |
目標症例数 | 100 例 | |
登録済み症例数 | 10 例 | |
研究実施期間 | 2022年4月〜 | |
レジストリ名 | 小児神経疾患・先天代謝異常症に対する遺伝子治療法 | |
レジストリの目的 | 自然歴調査;患者数や患者分布の把握;疫学研究;治験またはその他の介入研究へのリクルート;治験対照群としての活用;遺伝子解析研究;登録患者への情報提供;主治医への情報提供 | |
レジストリ保有者のPMDA面談経験の有無 | なし | |
臨床情報の調査項目 |
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調査項目 | ||
第三者機関からの二次利用申請可否 | 可 | |
レジストリの企業利用について | 企業が利用することについては、患者の同意を取得していない | |
二次利用申請を受けた場合の対応方法 | 倫理委員会の承認を得て提供 | |
レジストリURL | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
自治医科大学 小児科学 村松一洋 kaz-mura●jichi.ac.jp |
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