項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 自然免疫異常を介した川崎病冠動脈病変発症機序の解明 | |
研究代表者名 | 岡田清吾 | |
研究代表者の所属機関名 | 国立大学 山口大学 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 川崎病性冠動脈瘤 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究 | |
研究概要 | 川崎病は主に4歳未満の乳幼児に好発する原因不明の全身性血管炎である。川崎病の最大の問題点として、強い冠動脈炎の結果として冠動脈病変(拡大・瘤化)を発症し、若年突然死の原因となることが挙げられる。現行の標準治療は免疫グロブリン静注(IVIG)療法およびアスピリン内服であるが、約8%に急性期冠動脈病変が認められる。川崎病に対する抗ヒト腫瘍壊死因子(TNF)-αモノクローナル抗体製剤(インフリキシマブ)はIVIG不応川崎病に対し有効な治療法の一つであるが、奏功率は70%程度と十分ではない。また中枢神経細胞髄鞘化遅延や免疫抑制などの副作用の観点から、川崎病好発年齢の乳児例に対する積極的投与が推奨されていない。そのためTNF-α以外の主要分子を標的とした治療選択肢が必要である。 近年、微生物由来の病原体関連分子パターンや傷害細胞由来の分子(alarmin)がパターン認識受容体に作用しサイトカインの過剰放出が生じた結果、川崎病全身性血管炎が惹起されるという自然免疫説が有力視されている。その裏付けとして、患者末梢血中でhigh mobility group box 1(HMGB1)やインターロイキン(IL)-33などのalarminが上昇していることが報告されている。当研究室ではインフルエンザ脳症や尿路感染症においてHMGB1やIL-33がバイオマーカーとして有用であることを報告しており、川崎病において何らかのalarminがバイオマーカーおよび治療標的としてブロックバスターになり得るのではないかという着想にいたった。本研究では標的となるalarmin候補を患者血清を用いた網羅的解析から抽出し、培養ヒト冠動脈細胞およびヒト/マウス冠動脈脈組織を用いた実験から、新規特異的治療法の確立を目指すものである。 申請者らは過去に行った予備実験においてIL-33をalarmin候補のひとつとして同定し、in vitroにおいてIL-33がTNF-αよりも冠動脈内皮細胞に強い炎症を惹起することを明らかにした(論文投稿中)。また、本申請課題では機械学習により判別モデルを作成し、alarmin特異的治療法の至適患者群同定も試みる。本研究課題が申請者の目的通り達成されれば、より早期から各患者群に最適な治療を行うことが可能となり(川崎病個別化医療の実現)、新生児・乳児例にも実施可能な分子標的治療の確立、冠動脈病変合併率減少、若年突然死減少、医療費削減、および生産年齢人口減少の抑制につながる可能性がある。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 血漿・血清;フローサイトメトリーデータ | |
生体試料の登録例数 | 350 | |
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 不可 | |
外部からの使用申請への対応 | ||
担当者連絡先 | ||
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