項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 液-液相分離を正常化する核酸医薬によるFTLD治療法開発 | |
研究代表者名 | 石垣診祐 | |
研究代表者の所属機関名 | 名古屋大学大学院医学系研究科 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症 | |
研究のフェーズ | シーズ探索研究 | |
研究概要 | 前頭側頭葉変性症(FTLD)は3大認知症の一つで、若年発症が多く人格変化や社会性の喪失、脱法行為などが前面に出るために、本人のみならず家族や周囲への負担が非常に大きい疾患であるが、根本的な治療法は存在しない難病である。FTLDは筋萎縮性側索硬化症 (ALS)と遺伝学的・病理学的に同一の疾患スペクトラムと考えられ、ALS/FTLDの病態には原因遺伝子であるTDP-43、FUSなどのRNA結合タンパク質 (RNP) が病態に強く関与し、RNPが制御する転写や選択的splicingなどRNA代謝が密接に関わると考えられる。 申請者は、孤発性のFTLD、ALSを含むFTLDスペクトラム疾患でFUS/SFPQ核内複合体の会合異常が共通した病態変化であることを見出しており、FTLDの病態ではFUSおよびSFPQの高次構造異常が存在し、複合体形成異常がRNA代謝異常を引き起こすことで神経機能異常、神経変性が生じる可能性を示してきた。FUS、TDP-43、SFPQなどのRNPは液―液相分離(liquid-liquid phase separation, LLPS)という生化学的遷移機構が正常から病態に至る過程に強く関与することが示唆されており、RNPのLLPS動態の変化が複合体構造に影響を及ぼし、RNAプロセシング変化を引き起こすことが推測される。 そこで本研究提案では、FTLD/ALSの病態カスケードの最上流部位に位置するFUS・SFPQのLLPS動態を標的に、核酸医薬による制御を試みることでFTLDの根本治療法の確立を目指す。 具体的には、FUSおよびSFPQのRRMに結合するGGUGを中心とした配列候補を標的としたENA-ASOを複数設計作成し、in vitroでFUS, SFPQのLLPSに及ぼす効果を指標に、dropletからsolution状態に正常化する能力を有するENA-ASO配列を選定する。また神経細胞モデルでFUS, SFPQが形成する複合体、標的となるRNA代謝変化などを指標にした検証と、ENA修飾位置・頻度による化合物の展開を実施する。その後、FUS/SFPQ複合体の破綻しているFTLD動物モデルとして、内在性FUS抑制/変異FUS発現マウス、SFPQ変異体発現マウスなどを用いて、ENA-ASOの髄腔内単回投与の薬効と安全性を確認する。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
名古屋大学大学院医学系研究科、石垣診祐、drshin758●med.nagoya-u.ac.jp |
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