項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | ゲノム分子病理解析による難治性心筋症における精密医療の実現 | |
研究代表者名 | 小室一成 | |
研究代表者の所属機関名 | 東京大学医学部附属病院 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 心筋症 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究 | |
研究概要 | 背景 難治性心筋症は突然死や心不全死をきたす遺伝性難病である。我々は拡張型心筋症(DCM)患者の心筋症原因遺伝子の網羅的ターゲットシークエンスを行い、変異症例の半数にTTN遺伝子の短縮型変異もしくはLMNA遺伝子の変異を認め、TTN変異患者の予後は良好であるのに対してLMNA変異患者は薬物治療に応答せず予後が極めて悪いことを見出した(Tobita, Komuro et al. Sci Rep. 2018)。また心筋症患者の心筋シングルセルRNA-seqにより、治療応答不良患者の心筋はDNA損傷応答が活性化していることがわかり(Nomura, Komuro et al. Nat Commun. 2018)、心筋不可逆性はDNA損傷の蓄積と強く関係していると考えられた。さらに同定したLMNA変異を導入したマウスは、DNA損傷の蓄積とともに心筋成熟化不良を呈してDCMを発症した。すなわちゲノム・組織オミックス分子病理・変異マウス解析の統合により心筋症の深い病態理解に貢献できる。 難治性心筋症においてDCMと双璧をなす肥大型心筋症(HCM)にも心尖部肥大型・心室中部閉塞型・拡張相肥大型・閉塞性心筋症など形態的な特徴があり、拡張相に移行するHCMは予後不良の心不全を発症しやすいなど臨床的にも特徴がある。また心筋症患者は致死的不整脈を合併する例も存在する。本研究では、これら様々な表現型を呈する心筋症を対象として、ゲノム(ターゲット・全エクソーム)・分子病理(シングルセルRNA-seq・DNA損傷応答)・モデル動物(変異マウス)の統合解析により疾患の層別化・病態解明を目指す。 多施設共同研究により豊富な臨床検体(300例以上のHCM患者のゲノムDNA・心臓組織・臨床情報)と解析拠点の技術を統合したオールジャパン体制で心筋症の病態解明を目指す。我々は、体系的ゲノム解析・組織シングルセル解析・分子病理(DNA損傷応答)解析・変異マウス作製技術を確立し、解析に十分な検体を確保しており、十分な成果が期待できる。本研究はゲノム解析に終始せず、同一患者・変異マウスの分子病理像との統合解析により心筋症において分子病態別の疾患分類を提供する、世界的にも例を見ない革新的な研究である。心筋症ゲノム分子病態に基づいた層別化や予後推定・個別化医療は日常診療に直結し、異常分子病態を標的とした新規治療法の開発といった創薬研究にも発展する。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 血漿・血清;DNA;組織;細胞 | |
収集サンプル数 | 300例の心臓組織・血液検体、およびそれに付随したゲノムDNA(ゲノムDNAについては1000例程度) | |
生体試料の登録例数 | 300例 | |
DNA登録例数 | 1000例 | |
全ゲノム解析済み症例数 | 250例程度 | |
全エキソーム解析済み症例数 | 200例程度 | |
外部バンクへの寄託 | 該当なし | |
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 共同研究契約・倫理申請に基づいて、使用申請を受け入れ可能な検体が一部存在する。 | |
外部からの使用申請への対応 | 共同研究契約・倫理申請に基づいて、使用申請を受け入れ可能な検体が一部存在する。 | |
担当者連絡先 | ||
東京大学医学部附属病院、野村征太郎、senomura-cib●umin.ac.jp |
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