項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | シングルセル分子病理解析による心臓サルコイドーシスのバイオマーカー同定と治療標的探索 | |
研究代表者名 | 小室一成 | |
研究代表者の所属機関名 | 東京大学医学部附属病院 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 心臓サルコイドーシス | |
研究のフェーズ | エビデンス創出研究 | |
研究概要 | サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患である。心臓に病変が出現する心臓サルコイドーシスとなると不整脈や心不全を呈して致死的となるが、肉芽腫病変が散発的・限局的に存在するため診断に至らずに命を落とす例が多数存在する。研究分担者の寺崎を班長として「心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」でマルチモーダルな臨床画像評価(18F-FDG PET・Gaシンチ・Gd造影MRI)を取り込んだ診断基準へと改訂されたが、画像検査の特異性は低く、心臓サルコイドーシスの特異的な分子機序を標的とした分子マーカーの同定が待望されている。研究代表者の小室は、オミックス解析によって拡張型心筋症における遺伝子変異の検出の重要性を解明して「心筋症診療ガイドライン」に反映させるとともに、心臓組織シングルセル解析を世界で初めて開発して、心筋細胞のDNA損傷・ドパミン受容体・IGFBP7といった重症心不全に特異的な分子機序を次々に解明してきた。 そこで空間的トランスクリプトーム解析を駆使して心臓サルコイドーシスの病態に切り込み、肉芽腫部分でマクロファージやT細胞がIFNGR1/2・JAK2・STAT1遺伝子に加えて多数のケモカインを強く発現している一方、肉芽腫以外の部分では心筋細胞がJAK3・FOXO3・PDK4遺伝子が強く発現していることを明らかにした。そして血液シングルセルRNA-seq解析によって、心臓サルコイドーシスにおけるナイーブT細胞の枯渇・CD8 effector memory T細胞の増加と活性化・単球のIFN-γシグナル活性化(ステロイド投与で改善)を捉えた。さらに心臓組織のシングルセル分子病理解析によって、活性化したCD8 effector memory T細胞が炎症性マクロファージを取り囲むように集簇し、その周囲を線維芽細胞や血管内皮細胞が取り囲むように配置して肉芽腫が形成されていることを解明した。そこで本研究では、心臓組織シングルセル分子病理解析・血液シングルセルRNA-seq+プロテオーム解析によって心臓サルコイドーシスの分子機序を解明して特異的な組織・血液の新規バイオマーカーを同定し、この新規バイオマーカーと臨床的・組織学的検査を組み合わせた心臓サルコイドーシス層別化法を確立することを目指している。 政策研究班・関連学会と連携して我々が収集してきた希少な心臓サルコイドーシス症例の検体を活かして解析し、新しい診断アルゴリズムをガイドラインに反映させて、最先端の心臓サルコイドーシス診療を世界に先駆けて提供できるようにする。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
生体試料の種類 | 血漿・血清;DNA;組織;細胞 | |
収集サンプル数 | 300例の心臓組織・血液検体、およびそれに付随したゲノムDNA(ゲノムDNAについては1000例程度) | |
生体試料の登録例数 | 300例 | |
DNA登録例数 | 1000例 | |
全ゲノム解析済み症例数 | 250例程度 | |
全エキソーム解析済み症例数 | 200例程度 | |
外部バンクへの寄託 | 該当なし | |
外部からの使用申請の受け入れ可否 | 共同研究契約・倫理申請に基づいて、使用申請を受け入れ可能な検体が一部存在する。 | |
外部からの使用申請への対応 | 共同研究契約・倫理申請に基づいて、使用申請を受け入れ可能な検体が一部存在する。 | |
担当者連絡先 | ||
東京大学医学部附属病院、野村征太郎、senomura-cib●umin.ac.jp |
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