項目 | 内容 | |
---|---|---|
事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | T細胞上のコアフコースを標的とするクローン病治療薬の開発 | |
研究代表者名 | 深瀬浩一 | |
研究代表者の所属機関名 | 大阪大学大学院理学研究科 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | クローン病 | |
研究のフェーズ | 横断的基盤構築研究 | |
研究概要 | クローン病(Crohn's disease:CD)は、潰瘍性大腸炎とならぶ主要な炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)であり、主に小腸や大腸などの消化管に炎症を繰り返す慢性疾患で、近年その患者数が増加している。クローン病患者の腸管炎症部において、非炎症部に比べ浸潤T細胞にコアフコースが増加することが見出された。Fut8をノックアウトしたコアフコース欠損マウスに対してTNBSを作用させて誘導した実験的クローン病モデルでは、腸炎が劇的に抑制されることが見出された。またその原因としてコアフコース欠損T細胞受容体がラフトに移動できず、T細胞のシグナル伝達が抑制されることが明らかにされた。コアフコースは、アスパラギン結合型糖タンパク質(N-グリカン)の修飾糖鎖の一つであり、上記のFut8という糖転移酵素によってアスパラギンに結合したN-アセチルグルコサミンの6位に導入される。コアフコースはがんや炎症に関連性が高く、Fut8KOマウスでは、生後3日以内に大半が死亡し、生存しても成長遅延や肺気腫を引き起こす。抗体は通常コアフコースを含有するが、コアフコースの除去により抗がん抗体薬の抗体依存性細胞傷害 ( ADCC ) が著しく向上する。最近、全身性エリテマトーデス(SLE)患者ではCD4 + T細胞のコアフコシル化が有意に増し、マウスモデルでもTCRの過剰なコアフコシル化が自己免疫疾患の誘導に重要であることが示された。 以上の報告は、コアフコースならびにコアフコース転移酵素(Fut8)阻害剤がクローン病の治療薬として有望であることを示している。そこで、T細胞のコアフコースの発現を抑制するクローン病治療薬候補として、Fut8阻害剤にT細胞ターゲティング分子を導入したT細胞標的化Fut8阻害剤を開発する。すでに複数のFut8阻害剤を見出しており、その活性とT細胞選択性の向上を目指した検討を行ってコアフコースを標的とするクローン病治療薬候補に導く。一方、コアフコースに強力に結合するレクチンPhoSLを用いることで、コアフコースシグナルを遮断して、炎症を抑制する手法も検討する。PhoSLとT細胞標的抗体の複合体を合成し、T細胞応答の制御ならびにクローン病治療薬としての可能性を検証する。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
検査受け入れ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
※メールアドレスが掲載されている場合は、「●」を「@」に置き換えてください。