項目 | 内容 | |
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事業名 | 難治性疾患実用化研究事業 | |
研究課題名 | 二次進行形多発性硬化症新規動物モデルの樹立と炎症性グリアを標的とした進行型多発性硬化症治療薬開発 | |
研究代表者名 | 吉良潤一 | |
研究代表者の所属機関名 | 九州大学大学院医学研究院 | |
研究対象疾患名(または疾患領域) | 多発性硬化症 | |
研究のフェーズ | 病態解明研究;シーズ探索研究 | |
研究概要 | 多発性硬化症(MS)は若年成人を侵す代表的指定難病で根治療法がないため、患者は終生障害の進行に苦しむ。再発寛解型で発症しても半数は10から20年で再発なしに障害が進行する二次進行型へ移行する。既存の疾患修飾薬は末梢免疫系に作用し再発を抑制するが、二次進行期に入ると障害の進行を遅らせる作用はない。二次進行型MS病巣では末梢免疫細胞の浸潤が乏しい一方、ミクログリアやアストログリアが向炎症性に活性化し、オリゴデンドログリアや神経軸索を障害している。既存の治療薬は活性化グリアを全く抑制できない。炎症性グリアを標的とした治療薬が皆無である大きな理由は、グリア活性化を呈する二次進行型MSモデルがないことによる。髄鞘オリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)で免疫して誘導する実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)が、MSモデルとして治療薬開発に使われているが、本モデルは急性期を過ぎると障害は進行することもなく再発を示すこともない。 私たちは、二次進行型MS病巣では髄鞘再生しても永続的にオリゴデンドログリアのコネキシン(Cx)47が広汎に脱落する一方、アストログリアのCx43は異常発現することを報告した。Cxは、オリゴデンドログリア間、及びアストログリアとの間でギャップ結合を形成し、細胞間のネルギー・情報伝達を担っている。この点に着目し、私たちはオリゴデンデログリア特異的にCx47をタモキシフェン投与後に脱落させるCx47-inducible conditional knockout (Cx47icKO)マウスを樹立し、MOGで免疫することで世界初の二次進行型MSモデルの作成に成功した。急性期からEAEが重症化するばかりでなく、慢性期に再発を示し次第に重症化した。慢性期病巣では顕著なミクログリアとアストログリアの活性化と脱髄の進行を認めた。本研究では、本モデルを用いて炎症性グリアを標的とした画期的な二次進行型MS治療薬を開発することを目的とする。私たちは、抗リウマチ薬であるイグラチモド(IGU)を野生型マウスEAEに経口投与すると、予防的投与では急性及び慢性EAEをほぼ完全に抑制し、発症後の治療的投与では慢性期症状と脱髄が著しく軽減することを見出した。本研究ではCx47icKOマウスの二次進行型EAEがIGU及びアストログリアCx43阻害薬の投与で改善するかを臨床病理学的に検討する。 | |
レジストリ情報 | ||
なし | ||
バイオレポジトリ情報 | ||
なし | ||
検査受け入れ情報 | ||
なし | ||
担当者連絡先 | ||
九州大学大学院医学研究院 神経内科学 山﨑亮 ryoya●neuro.med.kyushu-u.ac.jp |
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